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蓄電池は停電時に何時間使える?容量別シミュレーション表つき

蓄電池は停電時に何時間使える?容量別シミュレーションとカタログに載らない現実

「蓄電池があれば停電でも安心」と聞くけれど、実際に何時間もつの?「10kWhの蓄電池なら丸一日使える」という説明もよく見かけますが、その数字はどんな条件での話なのでしょうか。

蓄電池の購入を検討している方にとって、停電時にどこまで頼れるかは最も気になるポイントではないでしょうか。

先に心強い話からお伝えします。10kWhクラスの蓄電池があれば、冷蔵庫の中身を守りながら、夜も明かりをつけ、スマホとWi-Fiを使い続けたまま数日を過ごせます。停電中でも普段どおりの生活が続くというのは、実際に経験すると想像以上に大きいものです。

ただし、その「数日」が成り立つ条件と、半日で終わってしまう条件があります。分かれ目は容量そのものよりも季節と使い方です。

筆者は大手メーカーで電池開発に長年携わってきたエンジニアです。この記事では、容量別のシミュレーション表に加え、カタログには載っていない「実効容量」や「出力制限」の仕組みまで、開発現場の視点を交えて解説します。

蓄電ラボ管理人

この記事を書いた人

蓄電ラボ管理人

大手メーカーでリチウムイオン電池の開発に長年従事。さまざまな機器の電池設計・評価で培った知見をもとに、家庭用蓄電池の技術を中立的な立場で解説しています。


目次

蓄電池は停電時に何時間使える?【容量別・季節別シミュレーション】

まず、多くの方が知りたい「結局、何時間使えるのか」から答えます。

先にお伝えしておくと、答えは季節と使い方で大きく変わります。同じ10kWhの蓄電池でも、エアコンを使わない春や秋なら3日近く持ちます。暖房を使う真冬でも、設定を控えめにすれば10〜15時間です。

理由はシンプルで、エアコンを使うかどうかで消費電力が数倍変わるからです。持続時間は「使える容量 ÷ 消費電力」で決まるので、消費電力が数倍になれば、そのぶん短くなります。

まずは家電ごとの消費電力から順に見ていきます。

停電時に使う家電の消費電力

シミュレーションの前提として、停電時に使う代表的な家電の消費電力を確認します。

家電消費電力の目安
冷蔵庫(400Lクラス)40〜60W(平均)
LED照明(リビング)30〜50W
スマホ充電(2台)20〜30W
Wi-Fiルーター10〜15W
テレビ(32型液晶)60〜80W
エアコン 冷房(6畳用)定格635W/実運転の平均 約400W
エアコン 暖房(6畳用)定格470W/実運転の平均 約700W
電子レンジ1,000〜1,500W
IHクッキングヒーター2,000〜3,000W

ここで、エアコンの行に注目してください。カタログの定格値では暖房(470W)のほうが冷房(635W)より小さいのに、実運転では逆転します。

エアコンは「定格」で計算すると冬に足りなくなる

同じ6畳用エアコンでも、実運転の消費電力レンジはこうなっています。

  • 冷房:135〜720W(定格635W)
  • 暖房:125〜1,220W(定格470W)

定格は暖房のほうが小さいのに、上限は暖房が約1.7倍。エアコンは必要なときに定格を超える能力を出せる設計で、冬はその上振れ側に張り付く時間が長くなります。

(数値はパナソニック エオリア CS-222DJ の公式仕様より)

理由はエアコンが動かす温度差です。夏に外気35℃の家を28℃にするなら温度差は7℃、冬に外気3℃の家を20℃にするなら17℃になります。

冬は夏の2倍以上の仕事をさせているうえ、室外機の霜取り運転も定期的に入ります。

蓄電ラボ管理人

カタログの定格値だけを見て「暖房のほうが軽い」と判断すると、真冬の見積もりを外します。容量を決めるときは実運転側の数字で見ておくと安心です。

容量別・季節別の持続時間

以上をふまえて計算します。

計算の前提(この記事の数値はすべてこの条件です)

  • 持続時間 = 実効容量(Wh)÷ 合計消費電力(W)
  • 実効容量は DOD(放電深度)80% で計算(実際のDODはメーカー・製品で異なります。詳細は次章)
  • ベース負荷 約120W = 冷蔵庫+LED照明+スマホ充電2台+Wi-Fiルーター
  • 真夏 = ベース+冷房(実運転平均400W)= 合計 約520W
  • 真冬 = ベース+暖房 = 合計 約520〜820W(設定を控えめにすれば暖房400W前後、強く効かせ続けると700W前後)

10kWhの蓄電池が停電時に持つ時間(季節別)

春・秋エアコンなし・合計 約120W
約67時間
真夏冷房込み・合計 約520W
約15時間
真冬暖房込み・合計 約520〜820W
約9.8〜15時間
0244872時間

※実効容量8.0kWh(DOD 80%)÷ 合計消費電力 で計算した目安です。真冬の濃い部分と薄い部分の差は、暖房の使い方です。700W前後で使い続けると約9.8時間、設定を控えめにして400W前後に抑えると約15時間まで延びます。エアコンの機種・設定温度・住宅の断熱性能でも変わるため、実際の時間は前後します。

カタログ容量実効容量
(DOD 80%)
春・秋
約120W
真夏(冷房)
約520W
真冬(暖房)
約520〜820W
5kWh4.0kWh約33時間約7.7時間約4.9〜7.7時間
7kWh5.6kWh約47時間約11時間約6.8〜11時間
10kWh8.0kWh約67時間約15時間約9.8〜15時間
15kWh12.0kWh約100時間約23時間約15〜23時間
この表からわかる3つのこと
  1. 同じ10kWhでも、春秋は約67時間(2.8日)/真冬は約9.8〜15時間。エアコンを使うかどうかで、これだけ差がつきます
  2. 効くのは容量よりエアコンの使い方。真冬の幅(約9.8〜15時間)は、暖房を700W前後で使い続けるか、400W前後に抑えるかの差です
  3. 設定を控えめにすれば、夏も冬も10kWhで15時間前後。持続時間は自分でコントロールできます

この表は、上に挙げた前提条件で計算した目安です。エアコンの機種・設定温度・住宅の断熱性能・お住まいの地域によって消費電力は変わるため、実際の持続時間も前後します。

それでも、エアコンを使うかどうかで数倍の差が出ることは押さえておいてください。「10kWhなら丸一日」という説明も、春と秋にかぎれば正しく、エアコンを使う季節にはそのまま当てはまりません。

逆にいえば、差をつくっているのは容量ではなく使い方です。停電中に設定を少し控えめにするだけで、持続時間ははっきり延びます。具体的なやり方は後半の「持たせるための5つの実践」にまとめました。

この表は理論値。実機との差はどこで生まれるか

ここまでの表は、カタログ値をもとに計算した理論値です。

実際の蓄電池は、この表より少し短くなります。差が生まれる場所は3つで、どれも見積もりの段階で確認できるものです。

次の章で順に見ていきます。


カタログの数字と実機の差を生む3つのポイント

ポイント1:カタログの容量が、そのまま使えるわけではない

前章で「実効容量」という言葉を使いました。カタログに書かれた容量と、実際に取り出せる容量は同じではありません。

DOD(放電深度)とは

DOD(Depth of Discharge:放電深度)とは、蓄電池の容量のうち実際に充放電に使う割合のことです。10kWhの電池でDOD 80%なら、使えるのは8kWhということになります。

なぜ全部使わないのか。電池を守るためです。

先に用語を2つだけ

  • SOC = 今の充電残量(スマホの「残量80%」と同じ考え方)
  • BMS = 電池の管理装置。充放電を安全な範囲に収める見張り役

リチウムイオン電池は、SOC(充電率=残量のパーセント表示)が0%に近づくと、過放電による回復不能なダメージを受けます。

逆にSOC 100%に近い状態が長く続くと、正極材料の構造変化が進んで劣化が早まります。

そこでBMS(バッテリーマネジメントシステム=電池の管理装置)が、SOCの上限と下限にマージンを設けて、安全な範囲でのみ充放電されるよう自動制御しています。

DOD 80%の製品なら、BMSはSOC 10%〜90%の範囲で運用し、上下それぞれ10%分は「触らない領域」として確保しているわけです。

カタログの「10kWh」のうち、停電時に取り出せるのは8.0kWh

10%
停電時に使えるのは 8.0kWh(容量の80%)
10%
SOC 0%100%

両端の10%ずつは、BMSが確保している「触らない領域」です。使い切っても満充電のまま置いても電池は傷むため、あらかじめ手前で止める設計になっています。

※DOD 80%の製品の例。マージンの幅はメーカー・製品で異なります。DODが小さい製品は容量をけちっているのではなく、長寿命側に振った設計と読むほうが実態に近いといえます。

開発現場では、このマージンをどう決めているか

このマージンは「安全のため」だけで決まっているわけではありません。保証年数から逆算されています。

家庭用蓄電池はおおむね10〜15年の容量保証が付きます。保証を満たすには、10年後にも規定の容量が残っている必要があります。

リチウムイオン電池の劣化は、満充電付近と空付近に置かれた時間に強く影響されます。

そこで開発では、想定する使い方(1日1回充放電など)で10年運用したときに保証値を割らないよう、上下のマージンを逆算して決めます。

つまりDODの数字は、メーカーが「保証を守るために手放した容量」です。DODが小さい製品は、けちっているのではなく、長寿命側に振っていると読むほうが実態に近いといえます。

同じ「10kWh」でも中身が違う

ここが実務上いちばん厄介な点です。カタログの「容量」が何を指すかは、メーカーによって異なります。

カタログ容量の3類型

  • セル総容量と実効容量を併記:両方が書かれており、実効容量を基準に計算できる(いちばん親切)
  • 実効容量が非公開:「公称容量」「蓄電容量」のみの記載で、実際に使える量が読めない
  • 定格容量=実効容量:DOD 100%設計で、カタログ値がそのまま使える

たとえば「10kWhの蓄電池なら、消費電力500Wで20時間使えます」という計算を見かけます。

この計算はDODを考慮していません。DOD 80%の製品なら実効容量は8kWh、持続時間は16時間です。同じ蓄電池で4時間、率にして20%の差が出ます。

見積書は、ここだけ見ておけば大丈夫

カタログの「定格容量」「蓄電容量」が、実効容量なのかセル総容量なのかを確認してください。

明記がない製品は、DOD 80〜90%で割り引いて計算しておけば安全側に立てます。

なお、DODの設定は蓄電池の劣化速度にも直結します。

深く使い切る設計ほど劣化は速く、浅く使う設計ほど長持ちします。DODは「使える容量」と「寿命」のトレードオフです。

ポイント2:同時に使える電力に、上限がある

容量が足りていても、「一度にどれだけ取り出せるか」に別の上限があります。

自立運転モードの出力制限

停電すると、多くの家庭用蓄電池は自立運転モードに切り替わります。電力会社の送電網(系統)から切り離された状態で、蓄電池だけで家に電気を送るモードです。

ここが重要な点です。特定負荷型の蓄電池では、自立運転時の最大出力は1500W〜2000W程度に制限されます。

通常時に系統から使える電力は最大6,000W(60A契約の場合)です。つまり停電時は、普段の4分の1〜3分の1の電力しか使えません

全負荷型では5kW前後に対応する機種もありますが、価格帯の中心である特定負荷型では、この制限が一般的です。

なぜ制限されるのか — インバータの定格

理由は、蓄電池に内蔵されたインバータ(直流を交流に変換する装置)の容量にあります。

蓄電池は電気を直流で蓄えていますが、家電は交流100Vで動きます。この変換を担うのがインバータです。

特定負荷型のインバータは1500VA〜2000VA程度で設計されているため、それ以上は物理的に取り出せません。

そして「突入電流」で落ちる

さらに厄介なのが突入電流です。

モーターを積んだ家電は、起動の瞬間だけ定格の数倍の電流が流れます。消費電力500Wのエアコンでも、動き出す一瞬は1000Wを超えることがあります。

平常時なら誰も気づきません。系統には余裕があるからです。しかし自立運転中は、この一瞬がインバータの上限を超え、保護回路が働いて電力供給が止まります。

保護回路は「平均」ではなく「一瞬」を見ている

ここは設計上、意図的にそうしてあります。

インバータの半導体素子は、定格を超えた電流が流れるとミリ秒〜秒のオーダーで壊れます。温度が上がってから止めたのでは間に合いません。

そのため保護回路は、電流の瞬時値を高速で監視し、しきい値を超えた瞬間に遮断します。「平均すれば定格内だから大丈夫」という判定はしていません。

これが、「合計消費電力は上限以内なのに、家電を1つ足したら落ちた」という現象の正体です。落ちたのは足した家電そのものの消費電力ではなく、その家電が起動した一瞬の跳ね上がりです。

保護回路が見ているのは平均ではなく、起動の一瞬

05001,0001,5002,000消費電力(W)自立運転の上限起動の一瞬 約1,250W運転が安定すると 約700W約250Wエアコン起動時間 →

※冷蔵庫・照明・テレビ(約250W)が動いているところへ、6畳用エアコンを入れたときのイメージです。運転が安定すれば合計は約700Wでも、起動の一瞬は定常の何倍にも跳ね上がります。保護回路はこの山を見ているので、「平均では上限内」でも、もう1台モーター系の家電が重なると一瞬で超えることがあります。

停電時に使える家電の組み合わせ

出力制限1500Wの場合、同時に使える組み合わせの目安です。

組み合わせ例合計消費電力判定
冷蔵庫+照明3部屋+スマホ充電約200W余裕あり
冷蔵庫+照明+テレビ+Wi-Fi約250W余裕あり
冷蔵庫+照明+エアコン(6畳)約700W使用可能(起動時注意)
冷蔵庫+エアコン+電子レンジ約1,800W出力オーバー
IHクッキングヒーター単体約2,000〜3,000W使用不可

ポイントは、消費電力の大きい家電を同時に使わないことです。

電子レンジ(1,000〜1,500W)やIHクッキングヒーター(2,000〜3,000W)は、単体でもインバータ容量に近いか超えます。停電時は使えないか、他をすべて切ったときだけ使えると考えてください。

ポイント3:電気が届く範囲は、機種のタイプで変わる

3つめは、電気が届く範囲の話です。

蓄電池には特定負荷型と全負荷型があります。

2つのタイプの違い(持続時間の観点から)

  • 特定負荷型:分電盤であらかじめ指定した回路だけに給電する。対象外の部屋には電気が来ない。使える範囲が狭いぶん、持続時間は長くなる
  • 全負荷型:家全体に給電する。どの部屋も普段どおり使える。そのぶん消費が増え、持続時間は短くなる

ここで誤解されやすいのが、「全負荷型のほうが上位互換」ではないという点です。

全負荷型は家中に電気が届くため、家族が停電中も普段どおり使ってしまい、残量が一気に減ります。容量が小さい蓄電池で全負荷型を選ぶと、数時間で空になることもあります。

特定負荷型なら、対象外の回路には物理的に電気が行きません。結果として、同じ容量でも持続時間は長くなります。

どちらを選ぶべきかは、容量とのバランスと家庭の使い方で変わります。価格差・分電盤のつなぎ方・メーカー10社の対応早見表は専用記事にまとめてあるので、そちらをご覧ください。


買う前の3つの確認で「停電時に使えなかった」は防げる

ここまでは「思ったより短い」という話でした。ここからは「そもそも動かなかった」を避ける話です。

インターネット上には「蓄電池があったのに停電時に使えなかった」という体験談があります。ただし技術的な原因は3つに整理でき、いずれも購入前のカタログ確認で避けられます

逆にいえば、この3つさえ押さえておけば、停電のときに期待どおり働いてくれます。

停電した瞬間から電気が届くまで、3か所を順に通る

停電が発生蓄電池はまず系統から切り離し、それから自立運転に入ります。
1確認1 自立運転への切替は自動か
自動何もしなくても電気が戻る(切替に数秒〜数十秒)
手動操作パネル/リモコンの操作が必要。場所と手順を先に確認しておく
電気が来たら↓ 次にきくのは残量
2確認2 そのときの残量(SOC)はあるか
満充電に近いシミュレーション表どおりの時間が使える
夕方〜夜深夜電力で充電する運用では、ここがいちばん低い。台風の停電と重なりやすい
残量があれば↓ 最後は出力と回路
3確認3 出力と対応回路は、使いたい家電に合っているか
特定負荷型あらかじめ指定した回路だけ・合計1,500W前後まで。使える範囲が狭いぶん長持ちする
全負荷型家全体が普段どおり使える。そのぶん減りは速い

※3つとも、購入前のカタログと見積書で確認できます。この先の3つの節で1つずつ見ていきます。

確認1:停電したときの切替は、自動か手動か

蓄電池が停電時に電気を送るには、送電網(系統)から切り離して自立運転モードに移行する必要があります。

この切替が自動の機種と、手動操作が必要な機種があります。

手動の機種では、停電してから操作パネルやリモコンを操作しないと電気が来ません。夜中の停電で操作パネルの場所がわからない、操作方法を忘れていた、というケースが実際に起きています。

なぜ手動の機種が残っているのか

「全部自動にすればいいのに」と思われるかもしれません。ここには系統側の安全要件が関わっています。

単独運転防止(アンチアイランディング)という決まりごと

停電しているのは、あなたの家だけではありません。電線の先では、電力会社の作業員が復旧作業をしています。

このとき、もし各家庭の蓄電池が停電した電線に電気を送り出してしまうと(逆潮流)、切れているはずの電線に電気が流れ、感電事故につながります。これを防ぐ仕組みが単独運転防止です。

そのため蓄電池は、停電を検知したらまず確実に系統から切り離し、それから自立運転に入るという順番を守る必要があります。

この切り離しを確実にするため、機種によっては人の手による確認を挟む設計になっているわけです。

手動切替は手抜きではなく、安全側に振った設計です。ただし、それを知らずに買うと停電時に困ります。

⚠️ 購入前チェック

「停電時の自動切替に対応しているか」を必ず確認してください。

自動対応の機種でも、切替には数秒〜数十秒かかります。その間は一時的に停電状態になるため、デスクトップPCなど瞬断に弱い機器にはUPS(無停電電源装置)の併用をおすすめします。

確認2:いざというときの残量(SOC)をどう確保するか

停電した瞬間に電池が減っていれば、当然もちません。 当たり前のようでいて、これが実際にいちばん多い原因です。

停電時にSOCが下限に近いと、自立運転モードに入れてもBMSがすぐに放電を止めます。

見落とされやすいのは、深夜電力で充電する運用をしている場合です。

安い深夜電力で充電し、日中に使う運用では、夕方から夜にかけてSOCがいちばん低くなります。台風による停電が起きやすいのも、まさにこの時間帯です。

残量がいちばん低くなる時間帯

  • 深夜〜早朝:充電が終わって満充電に近い
  • 日中:太陽光や蓄電池から使って減っていく
  • 夕方〜夜:いちばん低い。台風の停電が起きやすい時間帯と重なる

さらに、SOC表示の方式はメーカーによって異なります。表示されている残量が、そのまま取り出せる電力量とは限りません。

下限付近では前述の安全マージンが効くため、想定より早く放電が止まることがあります。

→ 対策は次の章にまとめました(事前満充電の設定など)。

確認3:自立運転の出力と対応回路が、使いたい家電に合っているか

家庭用蓄電池のほとんどは自立運転機能を持っていますが、自立運転時の出力と対応回路は機種によって大きく異なります。

「停電対応あり」と書いてあっても、出力が小さくて使いたい家電が動かない、特定負荷型で対象外の回路だった、ということが起こります。

停電対応を重視するなら、カタログで見るのはこの3つ
  1. 自立運転時の最大出力(1500W/2000W/5kW前後のどれか)
  2. 対応回路(全負荷型か特定負荷型か・特定負荷なら何回路か)
  3. 停電時の切替方式(自動か手動か)

容量(kWh)だけを比べても、この3つは見えません。

この3点は機種ごとに違うので、候補を絞る段階で実機のスペックを突き合わせるのが確実です。

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この3つの確認は、カタログではなく見積もりの段階でしか詰められません

切替が自動か手動か、残量をどう確保するか、対応回路が使いたい家電に合っているか。いずれも設置する家の分電盤と配線しだいで答えが変わります。

グリエネ(東証プライム上場・株式会社じげん運営)なら、審査を通過した会社から最大5社を無料で比較でき、この3点を各社の提案に当てて確かめられます。

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停電中に「持たせる」ための5つの実践

ここまでは「何時間持つか」の話でした。ここからは「どうすれば持たせられるか」です。

同じ蓄電池でも、使い方で持続時間は大きく変わります。特別な道具は要りません。

実践1:台風の予報が出たら、事前に満充電にしておく

いちばん効果が大きく、いちばん忘れられている対策です。

多くの機種には、停電に備えて満充電にしておく設定があります(「停電備えモード」「非常時充電」など、名称はメーカーで異なります)。

前章の確認2でふれたとおり、深夜電力で充電する運用では夕方以降のSOCが低くなります。

台風の接近がわかっているなら、前日のうちに満充電に切り替えておくだけで、使える電力量が倍近く変わることもあります。

この機能の有無と操作方法は、購入時に確認しておいてください。

実践2:暖房の設定温度を下げる(冬の停電で最も効く)

真冬の暖房は、停電時にいちばん重い負荷です。ただしエアコンは設定温度と室温の差が小さいほど消費電力が下がるので、20℃設定を18℃にするだけでも目に見えて落ちます。

冬の停電で電力を減らす順番

  • 暖房の設定温度を18℃前後まで下げ、着込んで補う
  • 暖房する部屋を1部屋に集約する(家族が同じ部屋で過ごす)
  • カーテンを閉め、窓からの熱の逃げを減らす

表の真冬が約9.8〜15時間と幅を持っているのは、ここが効くからです。暖房を700W前後で使い続ければ約9.8時間、400W前後に抑えれば同じ電池で約15時間まで延びます。

実践3:電子レンジとIHを使わない

前章のとおり、電子レンジ(1,000〜1,500W)とIH(2,000〜3,000W)は自立運転の上限に近いか超えます。

さらに、起動の瞬間に突入電流が流れるため、計算上は上限内でも保護回路が働いて落ちることがあります。

停電中の調理は、電気を使わない方法へ

  • カセットコンロ(ボンベの備蓄とセットで)
  • 保温調理(沸騰させてから保温容器へ)
  • 温めるだけの非常食

調理を電気から切り離すだけで、蓄電池をまるごと冷蔵庫と照明に回せます。

実践4:使わない回路と待機電力を落とす

全負荷型の場合、普段どおり家中に電気が届いてしまいます。停電に気づかないまま使い続けると、そのぶん減ります。

使っていない部屋のブレーカーを落とす、テレビやレコーダーの電源をコンセントから抜く。待機電力は1台あたり数Wですが、家全体では数十Wになります。

ベース負荷が120Wの家で30W減らせれば、それだけで持続時間は約25%延びます

実践5:冷蔵庫の開閉を減らす/スマホは機内モードに

冷蔵庫の消費電力(40〜60W)は平均値です。扉を開けるたびに庫内温度が上がり、コンプレッサーが動いて消費が跳ね上がります。

開ける回数を減らし、開けている時間を短くする。これだけで平均消費電力が下がります。

スマホは、電波が不安定な状況で最も電池を食います。基地局を探し続けるためです。使わない時間は機内モードにしておくと、蓄電池からの充電回数を減らせます。

蓄電ラボ管理人

5つのうち「事前満充電」と「暖房の設定温度」の2つだけでも、持続時間はまったく変わります。


東京都にお住まいの方へ

2026年度の都の助成は 10万円/kWh・上限120万円。10kWhなら都だけで100万円

ただし助成は契約より前に「事前申込」を出す必要があり、先に契約してしまうと受けられません。

自分の場合いくら助成されるか、容量別に試算する お住まいの区市町村の上乗せ(23区の一覧つき)もこちらで確認できます 申請の書類を会社側で進めてくれる、都内の施工会社4社 一括見積もりサイトではなく、連絡が来るのは申し込んだ1社だけ。4社とも中身を確認しました

※都の助成は太陽光の同時設置(または再エネ電力契約)が条件です。

太陽光があれば何日持つ?【現実的な計算】

蓄電池単体では容量に限りがありますが、太陽光発電があれば日中に充電しながら使えます。持続時間は「時間」ではなく「日」の単位になります。

ただし「太陽光があれば何日でも使える」という説明には注意が必要です。

太陽光併用なら何日持つのか

太陽光の1日の発電量は、パネル容量・天候・季節で大きく変わります。

条件4kWシステムの1日の発電量目安
晴天(夏)12〜16kWh
晴天(冬)8〜12kWh
曇り3〜6kWh
雨天1〜2kWh

10kWhの蓄電池+4kW太陽光で、1日の消費が8kWhの場合を考えます。

天候別の「何日持つか」

  • 晴天:日数の上限なし(発電10kWh以上=日中の消費をまかないつつ蓄電池も満充電)
  • 曇り:約2日(発電約4kWh=日中の消費でほぼ相殺/夜間は蓄電池から4kWh)
  • 雨天:1日持たない可能性(発電約1.5kWh=消費8kWhに対して大幅不足)

つまり「何日持つか」は天候次第で、晴れれば無制限、雨なら単体とほぼ変わりません。

太陽光併用で押さえておく3つのポイント

1. 充放電のロス

太陽光で発電した電気を蓄電池に充電し、また取り出して使うと、往復効率(電池内部のロス+パワーコンディショナーの変換ロス込み)は85〜90%程度です。

10kWh充電しても、使えるのは8.5〜9kWh。停電が長引くほど、この差が効いてきます。

2. 停電時はPCSの出力も制限される

太陽光のPCS(パワーコンディショナー)も、停電時の自立運転では最大1500W程度に制限される機種が多いです。晴天時に本来5kW発電できるパネルでも、自立運転では1.5kWまでしか取り出せません。

3. 停電するのは、たいてい悪天候のとき

台風や大雨で停電するということは、停電中はまさに悪天候です。太陽光の出力が落ちるタイミングと、蓄電池がいちばん必要なタイミングが重なります。

太陽光との併用は、それでも十分に強力です。晴れてさえいれば日中に充電しながら使えるので、停電が長引いても電気が尽きません。

ただ、「太陽光があるから小さい蓄電池でいい」という選び方はおすすめしません。蓄電池単体で最低1日は持つ容量を基準にしておけば、天候に左右されずに済みます。

太陽光もあわせて考える方へ

すでに太陽光をお持ちなら、発電した電気をどれだけ自宅で使い切れているかで併用の効果が変わります。測り方は→太陽光の自家消費率とは?平均・計算方法・蓄電池で上げるコツ

これから太陽光も検討するなら、防災目的であってもセット導入のほうが有利になる場面があります。費用は→太陽光+蓄電池のセット価格はいくら?/回収年数は→太陽光+蓄電池は何年で元が取れる?

  • 全国450社以上・加盟店は審査を通過(施工実績/財務/法令順守)
  • 東証プライム上場企業(株式会社じげん)が運営・個人情報は暗号化管理
  • 卒FIT後の後付けやV2Hの相談にも対応

停電時に何時間持つかは、カタログの容量だけでは決まりません

持続時間を左右するのは、実効容量・自立運転の出力・対応回路の組み合わせです。この3つは設置環境によって提案が変わるため、実際の見積もりで詰めるのがいちばん早く済みます。

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申し込むと、まず運営のカスタマーサポートが窓口になって要望を確認するので、複数の業者からいきなり一斉に電話が来る仕組みではありません

最初のヒアリングで「停電対策を重視したい」と伝えれば、そこをふまえた提案が返ってきます。太陽光がなくても(蓄電池のみでも)、太陽光とセットでも見積もれます。

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紹介社数は地域・条件で変わります(最大5社・無料)。申し込んだ後の流れが不安な方はグリエネに実際に申し込んで分かった入口・断り方もどうぞ。見積もりサイトの選び方は→見積もりサイトの選び方・使い方


で、うちは何kWh必要?

ここまで読んで「結局うちは何kWhにすればいいのか」と思われたはずです。

停電への備えという観点だけなら、目安はシンプルです。

停電対策としての容量の目安
  • エアコンを使わない前提で1日しのぐなら → 5kWh前後(約33時間)
  • 真夏・真冬にエアコンを使って1日しのぐなら → 10kWh以上(真冬で約9.8〜15時間)
  • 2日以上を電池だけでしのぐなら → 15kWh以上、または太陽光との併用

ただし実際の容量選びは、停電対策だけでは決まりません。普段の電気の使い方・料金プラン・設置スペース・予算が絡みます。

見積もりを取る前に、相場と各サービスの違いだけ先に見ておく

世帯人数別の目安や、容量を決める手順は専用記事にまとめています。


まとめ:停電への備えは「容量」ではなく「仕組み」で選ぶ

この記事では、蓄電池が停電時に何時間使えるかを計算し、カタログからは見えにくい技術的な現実を解説しました。

この記事のポイント
  1. 持続時間は季節と使い方で大きく変わる。 10kWhで春秋は約67時間、真冬は約9.8〜15時間(暖房の使い方しだい)
  2. エアコンは定格値で計算すると冬に足りなくなる。 定格は暖房470W<冷房635Wだが、実運転の上限は暖房1,220W
  3. カタログ容量はそのまま使えない。 DODとBMSのマージンを引いた実効容量で計算する
  4. 停電時の出力は1500〜2000Wに制限される。 突入電流で保護回路が落ちることもある
  5. 買う前の確認は3つ。 自動切替の有無・自立運転の最大出力・対応回路

蓄電池は、容量の数字だけで選ぶと「思っていたより使えなかった」となりやすい製品です。

裏を返せば、実効容量・出力制限・切替方式の3つを押さえて選べば、停電のときにきちんと働いてくれます

冷蔵庫の中身が守られ、夜も明かりがつき、家族と連絡が取れる。停電のたびに感じていた不安が、そのぶん軽くなります。

この3つはいずれも、見積もりの段階で確認できます。


よくある質問(FAQ)

蓄電池は停電時に何日持ちますか?

蓄電池だけなら、10kWhでエアコンを使わない前提で約2.8日、真夏の冷房込みで約15時間、真冬の暖房込みで約9.8〜15時間です。太陽光と併用すれば、晴天なら日数の上限はなくなりますが、雨天では単体とほぼ変わりません。

停電したら自動で蓄電池に切り替わりますか?

機種によります。 自動切替の機種と、操作パネルでの手動操作が必要な機種があります。自動の機種でも切替には数秒〜数十秒かかります。停電対策を重視するなら、購入前に「自動切替対応」を必ず確認してください。

停電時でも全負荷型なら全部の部屋が使えますか?

部屋は全部使えますが、そのぶん早く空になります。 全負荷型は家全体に給電するため消費が増え、持続時間は短くなります。容量が小さいまま全負荷型を選ぶと、数時間で使い切ることもあります。

停電中にエアコンは使えますか?

6畳用クラスなら使えることが多いですが、持続時間は大きく縮みます。 10kWhの蓄電池で、冷房込みなら約15時間、暖房込みなら約9.8〜15時間(設定しだい)です。また起動時の突入電流でインバータの上限を超えると保護回路が働くため、他の大電力家電との同時使用は避けてください。


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この記事を書いた人

蓄電ラボ管理人。大手メーカーでリチウムイオン電池の開発に長年従事してきたエンジニアです。電池の設計・評価・充放電制御を現場で担ってきた経験をベースに、家庭用蓄電池・太陽光発電・V2H・リチウムイオン電池の劣化メカニズム・補助金(DR・FIT・自治体)を中立的なエンジニア視点で解説しています。

【扱うテーマ】家庭用蓄電池の選び方/メーカー横断レビュー/サイクル寿命と保証条件の透明性/電池が劣化する仕組みの技術解説/DR 補助金・FIT 2 段階制の影響試算/V2H と蓄電池の比較。

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