テレビやネットで「蓄電池が火災」「リチウム電池火災が過去最多」という報道を目にすると、わが家の蓄電池は大丈夫だろうか、と不安になるかもしれません。
ですが、結論から言えば、家庭用の据え置き型蓄電池が火災になるケースは、ごくわずかです。国内外のデータを見るかぎり、その発生率は冷蔵庫や衣類乾燥機といった日常の家電と変わらない水準で、火災統計のなかに独立した分類が設けられていないほど件数が少ないのが実情です。そして報道で大きく取り上げられる火災の多くは、モバイルバッテリーのような小型製品や、メガソーラーに併設される大型の産業用設備で起きたもので、ご家庭に設置する蓄電池とは別物です。
この記事では、大手メーカーで電池開発に長年携わってきたエンジニアの視点から、なぜ家庭用蓄電池は火災が少ないのか、報道の火災との違い、発火の仕組み、メーカー別のリコールの実際、そして安心して選ぶためのシンプルな確認ポイントを、すべて出典付きで解説します。必要以上に怖がらなくて大丈夫だということが、データと仕組みの両面から伝わればと思います。
この記事を書いた人
蓄電ラボ管理人|大手メーカーで電池開発に長年携わってきたエンジニア
リチウムイオン電池のBMS(バッテリーマネジメントシステム=電池を監視・保護する制御装置)やセルの安全設計に関わってきた実務経験と、国内外の技術資料・学術論文をエンジニア視点で読み解く専門性をもとに、特定の製品を売るためではない中立の立場で情報を発信しています。
ニュースの「蓄電池火災」を3つに分けて考える——あなたの家のものはどれ?
「蓄電池の火災」という言葉が怖く感じられる最大の理由は、まったく性質の違う3種類の火災が、ニュースのなかで一緒くたに語られているからです。まずはここを切り分けると、不安の正体がかなりはっきりします。
蓄電池には「3つの区分」があり、火災の起きやすさも別物
蓄電池は、用途と規模によって大きく3つに分けられます。
- 家庭用据置型(数kWh〜十数kWh):一般家庭の屋外や屋内に設置する、この記事の主役。容量はおおむね5〜16kWh程度です。
- 系統用・産業用ESS(数百kWh〜数千kWh):メガソーラーに併設される電力貯蔵設備や、工場・変電設備向けの大型蓄電池。専用の建屋やコンテナに収められます。
- モバイル・小型充電式:モバイルバッテリー、ポータブル電源、電動アシスト自転車、電動工具など、持ち運べる小型のリチウム電池製品です。
電池工業会やNITE(製品評価技術基盤機構)も、これらを「蓄電システム(電力貯蔵)」「モバイル製品」「EV」などの別カテゴリーとして整理しています〔出典:NITE 製品安全関連資料/区分:横断〕。報道の不安を解くカギは、目にした火災が「どの区分の話か」を見分けることです。
「蓄電池の火災」は3つに分けて読む ── 報道のニュースはどの区分の話か
区分①
系統用・産業用ESS
規模:数百〜数千kWh
メガソーラー併設・専用建屋に設置
報道で見るのはこちら
「爆発・全焼」「経産省の注意喚起」はこの区分。鹿児島6,400kWh の事例など。
区分②
家庭用据置型
★ この記事の対象規模:数〜十数kWh
一般家庭に設置
火災はごくわずか
消防庁の据置設備で 18件・死傷ゼロ・大規模火災ゼロ。独立した統計が無いほど少ない。
区分③
モバイル・小型
規模:〜数百Wh
モバイルバッテリー等
「過去最多」報道はこちら
NITE 1,860件/東京消防庁 115件。家庭用据置型とは別の区分。
区分:家庭用据置型(本記事の対象)/系統用・産業用ESS/モバイル・小型は、規模も設置場所も別物です。「過去最多」「全焼」といった報道が、どの区分の話なのかを切り分けて読むのが第一歩です。
出典:消防庁(2023)/NITE(2025)/東京消防庁(2025)/PVeye
「過去最多」報道の中身は、ほとんどがモバイル・小型製品
ニュースで繰り返される「リチウム電池火災が過去最多」という見出しは、ほぼすべてがモバイル・小型製品の統計です。
NITEによると、2020〜2024年の5年間でリチウムイオン電池を搭載した製品の事故は1,860件、うち約85%(1,587件)が火災でした〔出典:NITE 製品事故情報・2025年6月公表/区分:モバイル・小型〕。ただしその内訳は、モバイルバッテリー361件、電動アシスト自転車202件、充電式の電動工具171件、充電式掃除機157件、ノートパソコン134件、ポータブル電源110件、スマートフォン102件……と続き、「蓄電システム」や「家庭用蓄電池」という区分はこの事故統計に一度も登場しません。
東京消防庁の「令和6年は115件で過去最多」という発表も同じで、内訳はモバイルバッテリー35件、電気カミソリ13件、携帯電話10件などが中心で、最も多いポータブル電源でも8件です。住宅用の据置型蓄電池という分類はそもそも存在しません〔出典:東京消防庁・2025年12月/管内のみの数字で全国値ではありません/区分:モバイル・小型〕。
つまり「過去最多」という言葉は事実ですが、それは家庭用据置型蓄電池の話ではない、というのが正確な読み方です。
メガソーラー全焼・経産省の注意喚起は「系統用」の話
もうひとつ目を引くのが、「蓄電池が爆発・全焼した」という大規模火災の報道です。これらは系統用・産業用の大型設備で起きています。
2024年3月27日に鹿児島県伊佐市のメガソーラーに併設された系統用蓄電設備(容量6,400kWh・LG製の三元系)が全焼・爆発した事故では、原因は蓄電池の内部短絡から可燃性ガスが滞留して引火したものと、2025年5月に確定しています〔出典:PVeye報道・2024〜2025/区分:系統用・産業用〕。容量6,400kWhは、家庭用(数〜十数kWh)の数百倍の規模です。
経済産業省・電力安全課が2024年に出した「爆発・火災事故」への注意喚起も、対象は事業用・系統用の蓄電池設備で、家庭用は含まれていません〔出典:経産省・2024/区分:系統用・産業用〕。「経産省が蓄電池火災に注意喚起=家庭用が危ない」と読むのは誤りです。
報道で見た火災のほとんどは、こうした「家庭用ではない蓄電池」で起きている——まずはこの切り分けだけで、不安はかなり小さくなるはずです。
家庭用蓄電池の火災は、実際どれくらい起きている?
では、肝心の家庭用据置型では、実際どれくらい火災が起きているのでしょうか。ここが本記事のいちばんの核心です。数字と、その「理由」の両方を見ていきます。
国内のデータ:火災はごくわずか
意外に思われるかもしれませんが、国内には「家庭用据置型蓄電池の火災」だけを取り出して集計した公的な統計がありません。消防庁・東京消防庁・NITEのいずれも、製品別の火災内訳に「家庭用蓄電池」という独立した分類を設けていないのです。これは裏を返せば、わざわざ独立した項目を立てる必要がないほど、件数が少ないということでもあります。
据置型について語れる、もっとも信頼できる公的データが消防庁の検討部会報告書(令和5年3月公表)です。これによると、消防庁が把握する過去9年間(2012〜2020年)で、蓄電池設備・無停電電源装置(UPS)などの据置設備に起因する火災は18件(リチウムイオン5件、鉛13件、ニッケル水素0件)。そして、いずれも小さなぼやや部分的な焼損にとどまり、死者・負傷者はゼロ。半焼以上の大規模な火災は一件も確認されていません〔出典:消防庁 検討部会報告書・2023年3月/区分:家庭用据置型〕。しかもこの18件は、業務用の設備やUPSも含んだ「据置設備全体」の数字なので、家庭用据置型「単独」では、さらに少ないことになります。
販売目的ではない消防庁の報告書自身が、こう明記しています。
定置用の蓄電池で大規模な火災は確認されておらず、届出の対象を拡大する必然性は現時点でみられない
公的機関がここまで言い切っているのは、大きな安心材料といえるでしょう。
海外の実測でも、日常の家電並み
海外には発生率の研究があり、これも安心材料になります。ドイツのアーヘン工科大学が2024年に公表した研究では、国内に普及している約160万台をもとに、家庭用蓄電池の火災発生確率は年0.0049%。これは一般的な住宅火災の約50分の1、ガソリン車火災の約18分の1という低さです〔出典:RWTH Aachen大学・2024年/区分:家庭用据置型〕。
同じ研究で家電と比べると、家庭用蓄電池0.0049%に対し、衣類乾燥機0.0037%、冷蔵庫0.0012%、太陽光0.0014%、ガソリン車0.089%。蓄電池の火災確率は、毎日使っている家電とほとんど変わらない水準に収まっています〔出典:同研究・2024年/区分:横断〕。オーストラリアの消防データでも2023年は約0.0144%と、同じ「年0.00X%台」でした〔出典:NSW消防・2023年/区分:家庭用据置型〕。
なぜ、家庭用は小型のリチウム電池より火災が少ないのか
ここで、エンジニアの視点から「なぜ家庭用据置型は、スマホやモバイルバッテリーのような小型のリチウム電池に比べて火災が少ないのか」を補足しておきます。同じリチウムイオン電池でも、使われ方と作りがまるで違うためです。
- 充放電が穏やか:スマホや電動工具は、短時間に大きな電流を流したり急速充電をしたりと、電池に負荷の高い使い方をします。一方、家庭用蓄電池は数時間かけてゆっくり充放電するのが基本で、電流が小さく発熱も少ない、電池にやさしい使われ方をしています。
- 頑丈な筐体に固定設置されている:小型電池は、落とす・ぶつける・水に濡れる・ポケットの中で異物が触れる、といった物理的なダメージを受けがちです。家庭用蓄電池は、しっかりした金属の筐体に収められ、決まった場所に固定して設置されるため、こうした外的なダメージとは無縁です。
- きちんとしたBMSと温度管理:家庭用蓄電池には、電池を監視・保護するBMSが組み込まれ、温度や電圧を常に見張っています。炎天下の車内に放置される、といったこともありません。
- 正規の認証品である:小型電池の火災は、安価な非純正品・互換品が原因になっているケースが目立ちます。実際、NITEの調査では非純正バッテリーの事故235件のうち、ほぼ全てが火災でした〔出典:NITE・2014〜2023年/区分:モバイル・小型〕。家庭用蓄電池は、施工業者を通じて設置される正規の認証品がほとんどで、ここが大きく違います。
実際、モバイルバッテリーなどの火災は約6割が充電中に起きていますが〔出典:東京消防庁・令和6年/区分:モバイル・小型〕、これは小型電池ならではの使われ方の問題でもあります。家庭用の据え置き型蓄電池は、「穏やかな使われ方 × 頑丈な作り × きちんとした管理 × 正規の認証品」が揃っているからこそ、火災が少ない——これがエンジニアとしての実感です。
もちろん、リチウムイオン電池である以上「絶対に燃えない」と言い切ることはできません。ただ、その確率はここまで見てきたとおりごくわずかで、しかも理由のある低さです。だからこそ、構えて細かくチェックする必要はなく、このあと触れるシンプルな確認をしておけば十分です。
蓄電池が発火する仕組み「熱暴走」をエンジニアが解説
ここまで「家庭用蓄電池の火災は稀」とお伝えしてきましたが、「では、ごくまれに発火するときは何が起きているのか」という仕組みも知っておくと、より安心して付き合えます。リチウムイオン電池の発火の中心にあるのが、熱暴走(電池が自分の発した熱でさらに反応が進み、止まらなくなる現象)です。
引き金は「内部短絡」、でも主な発熱源は別
熱暴走は、ある温度を超えると次の発熱反応が起き、その熱でさらに温度が上がる……という連鎖です。ごく簡単に言えば、約80℃あたりで電池がわずかに自己発熱を始め、130℃前後で正極と負極を隔てる膜(セパレータ)が壊れてショートし、180℃以上になると正極から酸素が出て本格的な燃焼に向かいます(いずれも材料による幅があります)〔出典:Feng et al. 2018/NITE 技術資料/区分:横断〕。
この連鎖の引き金になるのが、内部短絡(セルの内部で正極と負極が接触してショートすること)です。ただし、ここはエンジニアとして強調したいのですが、内部短絡はあくまで「引き金」であって、熱暴走の主な発熱源そのものではありません。主な発熱は、正極・負極・電解液のあいだで起きるレドックス反応(酸化還元反応)によるものです〔出典:Feng et al. 2018/区分:横断〕。「内部短絡=即発火」という単純な図式ではない、ということです。
内部短絡を引き起こす原因は、製造時の異物混入や、低温での充電・過大な電流による金属リチウムの析出(針状に成長した金属リチウム=デンドライトがセパレータを突き破る)、外部からの強い衝撃、過充電・過放電などです〔出典:NITE 技術資料/区分:横断〕。このうち「リチウムの析出から内部短絡に至る劣化の連鎖」については、「リチウムイオン電池の劣化メカニズム」で詳しく解説しています。
🔋 開発者の視点|BMSはどこまで守れるのか
BMS(バッテリーマネジメントシステム=電池を監視・保護する制御装置)は、過充電・過放電・過電流・温度の異常を見張り、危険を検知すると充放電を止めます。外部短絡や過充電のような「電気的な異常」に対しては、保護回路やヒューズなどが有効に働きます。
一方で、セルの内部で起きる異常——たとえば製造時に混入したわずかな異物が原因の内部短絡——は、BMSが外側から検知できる前に進行してしまうことがあります。つまり、BMSは「電気的な異常」の番人としては非常に強力ですが、「セル内部の品質」や「設置・構造」までは肩代わりできません。逆に言えば、品質の高いセルを頑丈な筐体に収め、きちんとしたBMSで管理している主要メーカーの製品は、これらが揃っているからこそ、発火に至ることがほとんどないのです。 BMSの仕組みそのものは「蓄電池のBMSとは?」で詳しく扱っています。
熱暴走はどう進むか ── 各段階で「防御」が連鎖を止めている
引き金=内部短絡。ただし 「内部短絡=即発火」ではありません。主な発熱源は段階ごとに進むレドックス(酸化還元)反応で、各段階で BMS・セパレータ・保護回路といった多層の防御が連鎖を止めています。温度はすべて「約」で、電池材料により幅があります。
出典:Feng et al.(2018)/NITE。家庭用の蓄電池は、この連鎖が始まらないよう・始まっても止まるように何重もの安全設計がなされています。
メーカー別の火災・リコールの本当のところ
「◯◯(メーカー名)の蓄電池はリコールがあったらしい」という情報も、不安の種になりがちです。ここでは事実を、区分を正確にしながら整理します。結論を先に言えば、家庭用据置型の本当の意味での火災リコールは、ほぼオムロン系の1件です。
家庭用の代表的リコール=オムロン系(重大製品事故14件)
家庭用据置型でもっとも代表的なリコールが、2021年のオムロン製蓄電池のものです。消費者庁が2021年10月22日に公表した内容は、「重大製品事故14件」で、対策は「充電率の調整および無償での製品交換」でした〔出典:消費者庁・2021年10月22日/区分:家庭用据置型〕。
ここで正確にしておきたいのは、これは「14件の火災」ではないという点です。製造プロセスの問題でまれに焼損に至るリスクがあるとしてのリコールで、対象はKP-BU65-A・KP-BU98-Bなどの蓄電池ユニット、計約14,853台。3段階(案内→充電率調整ソフト→ユニット交換)で対応されました〔出典:オムロン公式・2021年/区分:家庭用据置型〕。
長州産業=オムロンのOEM/ニチコン=発煙の可能性/京セラ=機能点検
メーカー名で検索すると出てくる「リコール」には、性質の異なるものが混ざっています。
- 長州産業の「リコール」は、オムロンからのOEM供給品(同型のユニット)を、販売店として回収・無償交換したものです。長州産業独自のセル不良ではありません〔出典:消費者庁・オムロン公式・2021年/区分:家庭用据置型〕。詳細は「長州産業蓄電池の口コミ・評判」でも触れています。
- ニチコンは2022年4月、蓄電容量11.1kWhの単機能蓄電システム(ESS-U2M1など一部)について、製造工程の問題で「ごく稀に発煙する可能性」があるとして無償交換を告知しました。火災ではなく「発煙の可能性」です〔出典:ニチコン公式・2022年4月/区分:家庭用据置型〕。製品の詳細は「ニチコン蓄電池の口コミ・評判」をご覧ください。
- 京セラが2018年に実施した「無償点検」は、火災リコールではありません。停電時に太陽光からの充電機能が正常に動作しない場合がある、という機能不全への予防的な点検です。京セラ家庭用蓄電池の火災リコールは確認できませんでした〔出典:京セラ公式・2018年/区分:家庭用据置型〕。京セラの安全設計については「京セラ蓄電池の口コミ・評判」でも解説しています。
テスラ・LGは海外リコール、シャープ・パナは確認した範囲で無し
テスラ Powerwall 2は2025年11月に米国で約10,500台、LG RESU10Hは2021年8月に米国で約10,000台がリコールされていますが、いずれも海外での話で、日本国内の対象の有無・実施状況は公式に公表されていません〔出典:海外報道・米CPSC/国内未開示/区分:家庭用据置型〕。また、シャープ・パナソニックについては、消費者庁のリコール情報と各社公式を確認した範囲で、家庭用蓄電池の火災起因のリコールは見当たりませんでした(すべてを網羅したと断定はできませんが)〔出典:消費者庁・各社公式・2026年確認/区分:家庭用据置型〕。
メーカー名でリコールを調べたときに大切なのは、「火災」なのか「発煙の可能性」なのか「機能点検」なのか、そして国内の話か海外の話かを見分けることです。多くの場合、不安の中身は事実を整理するだけでかなり小さくなります。
安全な蓄電池の見極め方——難しく考えなくて大丈夫
ここまで見てきたとおり、家庭用の据え置き型蓄電池、とくに主要メーカーの製品は、統計のうえでも仕組みのうえでも火災リスクが低く抑えられています。機種選びで安全性を細かくチェックしなければ、と気負う必要はありません。最低限おさえておきたいポイントだけ、シンプルにまとめます。
「PSEマーク」よりも「補助金の登録機種か」
意外に思われるかもしれませんが、家庭用の据え置き型蓄電池(電池単体)は、モバイルバッテリーのようなPSEマークの表示義務の対象ではありません。なので、「PSEマークがあるか」で判断する必要はありません〔出典:電気用品安全法/区分:家庭用据置型〕。
代わりに分かりやすい目安になるのが、国の補助金(ZEH/SII)の登録機種かどうかです。補助金の登録には、システムとセルの両方がJIS C 4412などの安全規格に基づく第三者認証を受けていることが条件になっています。つまり、補助金の対象になっている機種は、第三者の安全試験を通った製品ということになります〔出典:SII公募要領・2024年/区分:家庭用据置型〕。国内で広く流通している主要メーカーの製品は、その多くがこの登録機種です。
気になるなら、型番で検索してみる
「自分が検討している機種は大丈夫かな」と気になったら、ZEH補助金の「蓄電システム登録済製品検索」(zehweb.jp/registration/battery/)で、メーカー名や型番を入れて検索してみてください。掲載されていれば、第三者認証を受けた機種だと確認できます。
ただ、念のため2点だけ。補助金に載っている=国が安全を保証している、という意味ではありません。また、リストに載っていないからといって危険というわけでもありません(輸入直販品などもあります)。あくまで「安心材料のひとつ」として、ちょうどよい距離感で使うのがおすすめです。
🔋 開発者の視点|主要メーカーは「試験をクリアした事実」を公表している
エンジニアの目で見ても、家庭用蓄電池の安全性は「セルの品質 × BMSの保護 × 頑丈な筐体・設置」の組み合わせで確保されています。そして主要メーカーの多くは、釘を刺す・押しつぶす・過充電するといった過酷な試験で発煙・発火がないことを公表しています。たとえば京セラのEnerezza(クレイ型のLFP)は、衝突試験や釘刺し・圧壊試験で発煙・発火がなかったと公式に明記しています〔出典:京セラ公式・2022年/区分:家庭用据置型〕。こうした情報を出しているメーカーを選べば、より安心です。
なお、設置にあたっての消防への届出も、家庭用(おおむね5〜16kWh級)は原則不要です(届出が必要になるのは20kWh超。容量の詳細は「蓄電池10kWhはどれくらい使える?」で扱っています)〔出典:消防庁告示・2024年1月施行/区分:家庭用据置型〕。
最後にひとつ。この確認ポイントは、ご家族に「ちゃんと確認したから大丈夫」と伝えるための材料にもなります。蓄電池の導入は、ご家族の「火災が心配」という不安が壁になりやすいテーマです。登録機種であることや、上で見た「火災が少ない理由」を一緒に確認しておくと、家庭内の合意もスムーズになるはずです。
安全に選ぶための確認チェックリスト【保存版】
区分:家庭用据置型を選ぶ前提もしもの時は激しく噴出している間は近寄らず、まず通報。収まってから大量の水で注水するのが基本です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 発火しない蓄電池はありますか?
現行のリチウムイオン電池で、発火リスクが完全にゼロの製品は存在しません。ただし、近年の家庭用蓄電池に多いLFP(リン酸鉄リチウム)は熱的に安定で発火しにくい特性があり、リスクをさらに下げられます。次世代の全固体電池は、燃えにくい固体の電解質を使うため発火・熱暴走リスクの大幅な低減が期待されていますが、これも完全な「ゼロ」にはなりません。リスクは、製品選び・設置・使い方で下げられる、というのが正確な答えです。
Q2. もし発火したら、どう消火すればいいですか?
「リチウム電池の火災に水をかけてはいけない」というのは俗説です。東京消防庁・NITE・消費者庁の3機関とも、①火花や煙が激しく噴き出している間は近寄らず、避難・通報・安全確保を最優先する → ②火の勢いが収まったら、大量の水や消火器で消火し、さらに大量の水で温度を下げて水没させる、という手順を公式に推奨しています。最も危険なのは、激しく噴出している最中に消火しようと近づくことです。落ち着いて、まず離れて通報する——これが正しい初動です。
Q3. 火災保険は使えますか?
住宅に固定設置された家庭用蓄電池は、一般に「建物の付属設備」として扱われることが多く、屋根に固定した太陽光パネルと同じ考え方になります。ただし、最終的な扱いは契約内容や保険会社によって異なります。特に後から設置した場合は、保険会社への通知(告知)が必要なケースもあるため、設置後に契約内容を確認しておくと安心です。
Q4. 自分の蓄電池がLFPかNMCか調べたいです。
型番からセル化学を見分ける方法は、「蓄電池の見積書を読み解く5評価軸」で型番とセル化学の対応を整理しています。そちらをご覧ください。
Q5. 訪問販売や施工不良は火災リスクになりますか?
施工不良は、火災リスクの要因のひとつになり得ます。悪質な業者や訪問販売の見極め方は「蓄電池の訪問販売で騙されないために」で詳しく解説しています。
まとめ|安全は「製品選び × 設置 × 使い方」の掛け算
最後に、確認ポイントを家族とも共有できる形でまとめます。
- 報道で見る「蓄電池火災」の多くは、家庭用据置型ではない(モバイル・小型製品や系統用の大型設備)。
- 家庭用据置型の火災は、独立した統計が作られないほど少ない(消防庁の据置設備18件・死傷ゼロ・大規模火災ゼロ)。海外の実測でも年0.00X%台=日常の家電並み。
- 少ない理由もはっきりしている——穏やかな使われ方 × 頑丈な作り × きちんとした管理 × 正規の認証品。
- 見極めは、PSEマークではなく、JISなどの安全規格に基づく補助金の登録機種(zehweb.jpで型番検索)。
- 安全は、セル品質 × BMS × 設置の多層防御で確保されている。
安心を確認できたら、次は「そもそも自分の家に導入すべきか」の総合的な判断です。「蓄電池はやめたほうがいい?後悔しない判断基準5つ」で整理しています。経済性(元が取れるか)が気になる方は「蓄電池は元が取れる?取れない?」へ。
必要以上に怖がらず、等身大に知って安心して使う——それが、この記事でいちばんお伝えしたかったことです。
あわせて読みたい:「蓄電池の寿命は何年?メーカー6社比較」
