デンソーのV2Hを調べると、DNEVC- で始まる型式が3つ出てきます。
先に言ってしまうと、この3つは値段で選ぶものではありません。家の場所と、本体のほかに足すもので、選べる型式が先に決まります。
重塩害地域に対応しているのは末尾にSが付いた型だけで、海の近くならここで1つに絞られます。
もう1つが、本体だけでは設置できないことです。見積書には、本体の下に別の型番が数行ぶら下がります。
筆者は大手メーカーで電池開発に長年携わってきたエンジニアです。公式の取扱説明書と工事資料まで当たって、見積もりで指定する型式が1つに決まるところまで書いていきます。
この記事を書いた人
蓄電ラボ管理人
大手メーカーでリチウムイオン電池の開発に長年従事。さまざまな機器の電池設計・評価で培った知見をもとに、家庭用蓄電池の技術を中立的な立場で解説しています。

いま買えるのはどれか
デンソーのV2Hは、いま3つの型式が並んでいます。ただし、そのうち1つはもう作られていません。
| 型式 | 形 | いまの状態 |
|---|---|---|
| DNEVC-D6075/-D6075-2 | 一体型(91kg) | 2026年2月22日に製造終了・在庫限り |
| DNEVC-SD6075 | セパレート | 現行 |
| DNEVC-SD6075S | セパレート | 現行(重塩害地域向け) |
※デンソー公式のお知らせ、仕様ページおよび取扱説明書より(2026年9月時点)。
Dシリーズは本体が1つの箱にまとまった一体型で、重さは91kgあります。SDシリーズはパワーユニットとプラグホルダの2つに分かれたセパレート型です。
SD6075S は、公式の仕様ページには型式名が出てきません。ただし対応車種のページと取扱説明書の型番欄には載っていて、末尾のSは重塩害地域向けという意味だと明記されています。
蓄電ラボ管理人在庫で買える型があるうちは、終売そのものは急いで避ける理由になりません。
効いてくるのは保証の年数と、部品がいつまで出るかのほうです。この2つは後ろの章で数字を並べます。
そもそもV2Hを入れて損しないのかで迷っているなら、こちらが先です(→ V2Hのデメリット5選|やめたほうがいい人・向いている人の特徴)。
メーカーをまだ決めていない段階なら、先に候補を減らすほうが早いかもしれません。デンソーが残るのは、太陽光の有無を問わずV2Hだけを単体で足す場合です(→ V2Hのメーカーはどこがいい?家の条件で候補を絞る比較)。
この3つを分けているのは値段ではなく、形と、置く場所の条件です。
いくらかかるのか
検索で見えている「110万円」「148万円」の正体
まず押さえておきたいのは、デンソーは公式にオープン価格で、定価が存在しないことです。SDシリーズの仕様ページにそう書かれています。
検索で出てくる「Dシリーズ 110万円」「SDシリーズ 148万円」は、販売店が自社のページに掲載している金額です。しかも税抜で、本体だけの額です。
もう1つ、110万円は製造を終了したほうの型の価格です。安いほうが終売になった、という順番になっています。
工事費については、同じ販売店の記事が25万〜40万円としています。当サイトが見積もりを取って確かめた額ではありません。


本体だけでは設置できません
SDシリーズのカタログには、必須オプションという欄があります。施工ケーブルセットと設置部材セットの2つで、それぞれ1つずつ選ぶ必要があります。
| 必須オプション | 型番 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 施工ケーブルセット | DNEVC-CCS01〜05 | 分電盤やプラグホルダまでの距離(10〜40m) |
| 設置部材セット | DNEVC-IMS01〜04 | パワーユニットを据置か壁掛か、プラグホルダを壁掛かポールか |
※デンソー公式のSDシリーズカタログ「部材一覧」より(2026年9月時点)。
つまり、同じSD6075でも、家の形によって買うものが変わります。据置と壁掛では設置部材セットの型番が別ですし、距離が伸びれば施工ケーブルセットも上の型番になります。
販売店が出している「148万円」に、この2つが入っているのかは書かれていません。見積書では、本体の型式のほかに CCS と IMS で始まる型番が並んでいるかを見てください。
補足:補助金は型式で19万円ちがいます
国のCEV補助金には、型式ごとの交付上限額を並べた別表があります。
| 型式 | 充電出力/放電出力 | 交付上限額 |
|---|---|---|
| DNEVC-D6075-2 | 6kW/6kW | 55万円 |
| DNEVC-SD6075 | 6kW/6kW | 74万円 |
| DNEVC-SD6075S | 6kW/6kW | 75万円 |
※次世代自動車振興センターのV2H充放電設備 型式一覧より(2026年9月時点)。
出力は3型式とも同じです。それでも上限額は19万円ちがい、本体が安いDのほうが、受け取れる上限は低いという並びになっています。
制度がいま使えるかどうか、自分がいくら受け取れるかは、この記事では扱いません。
【2026年版】V2Hの補助金はいくら?最大130万円の内訳と機種別の上限額
国と自治体の上限額、申請の順番はこちらにまとめています。 → 読んでみる


総額と回収年数は別記事です(→ V2Hは何年で元が取れる?設置費用100万〜300万円の回収シミュレーション【2026年版】)。
金額の幅がここまで開くのは、選ぶ型式と設置のしかたで、買うものそのものが変わるからです。
どれを選べばいいのか
上から順に答えていくと、型式が1つに決まります。
デンソーのV2Hは、どの型式になるか
重塩害地域向けには SD6075S があります。海水のしぶきが直接あたる場所は、Sでも設置できません。
パワーユニットとプラグホルダに分かれていて、どちらも壁掛が選べます。
Dシリーズは基礎工事が必要です。SDも据置にするなら基礎工事が要ります。
SDシリーズの自立運転は片相3kVA未満です。どちらの相につながるかまで見てください。
本体の値段は下がっている一方、保証は5年です。
10年にするには、事前確認書と施工完了報告書の提出が必要です。
設置の可否・寸法・保証の年数は、デンソー公式の取扱説明書、カタログ、先行工事用参考資料より。
- 設置する場所Dシリーズは、沖縄・離島と重塩害の場所には設置できません。重塩害地域向けには SD6075S があります
- 置き場所の広さDは点検のためのスペースを含めて幅約160cm×奥行約90cmが必要です
- 基礎工事をするかどうかDは基礎工事が必要です。SDは据置なら必要ですが、壁掛にすれば要りません
- 停電中の使い方SDの自立運転は片相3kVA未満です。200VのエアコンやIHを片側に寄せたい場合はここが効きます
- 保証の年数一般住宅向けでDが5年、SDが10年です
1番目がいちばんきつい条件です。重塩害は、直接潮風が当たる場所なら海から500m以内、直接は当たらなくてもその雰囲気の中にあるなら300m以内が目安とされています。
離島の定義も書かれていて、本土から離れて四方を海で囲まれている島が対象です(淡路島は除く)。



海の近さで最初に落ちるのは、一体型のDのほうです。
セパレートのSDには重塩害地域向けの型式が用意されています。ここは値段より先に確かめてください。
2番目の広さは、先行工事用の資料に実数が出ています。SDのパワーユニットは幅47cm、プラグホルダは幅16cmで、どちらも壁掛が選べます。
条件を上から当てはめていけば、残るのは1つか2つです。
家にシャープの太陽光・蓄電池が入っている場合は、先にいまのパワコンにV2Hが付くかを確かめてください。シャープのEV用コンバータは1機種で、付くかどうかはパワコンの形名と識別記号で決まります。そこで付かない系統だった場合に、デンソーのように既設を残したまま足せる単機能のV2Hが候補になります(→ シャープのV2Hはうちに付く?対応パワコン2機種と識別記号の見分け方)。
デンソーの3型式では条件が合わなかった場合は、同じ6kW帯で型式を選べるメーカーがほかにもあります。
ニチコンのV2Hはどれを選ぶ?現行8型式の違いと工事込みの総額
出力・設置のしかた・保証の3点で選び分ける手順は同じです。型式が8つあるぶん、条件の合わせ先は広くなります。
→ ニチコンの型式差を見る

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自分の車で使えるのか
対応車種の一覧は、DシリーズとSDシリーズで別々のページにあります。どちらも基準は2026年8月現在です。
SD側のほうが記載が細かく、年式と車両型式まで指定されています。
ここで全車種を書き写しても、更新のたびに古くなります。自分の車の年式と車両型式を控えて、公式のページで引いてください。


対応車種に載っていても、車の側の状態で運転が止まることがあります。公式のよくある質問には、車の電源が入っている・シフトがパーキング以外・普通充電のケーブルが挿さっているの3つが挙がっています。
車種の確認は、メーカー名ではなく年式と車両型式で行います。
思ったとおりに動かないのはどんなときか
使いはじめてから「思っていたのと違う」となりやすいところは、カタログではなく取扱説明書と工事資料に書かれています。
ここでは、あらかじめ知っておくと戸惑わずに済む場面を4つ並べます。
停電のとき、片側にまとめて使えません
SDシリーズの自立運転は、6kVA未満、そのうち片相は3kVA未満です。
家の電気は単相3線式で、2本の電圧線に分けて配られています。片方に大きな機器を寄せると、家全体ではまだ余裕があっても、その相の電流が先に上限に当たります。
200VのエアコンやIHを停電中に使いたい場合は、どちらの相につながっているかまで確認が要ります。
充放電で電気がどれくらい目減りするのかは、デメリットの記事に整理しています(→ V2Hのデメリット5選|やめたほうがいい人・向いている人の特徴)。
停電のとき、使いすぎると止まります
取扱説明書には、家庭の消費電力が5.9kVAを超えた場合、自立運転が停止する可能性があると書かれています。太陽光の余剰電力が5.9kVAを超えた場合も同じです。
もう1つ、停電から復旧しても約5分間は運転できません。復旧を確定するまでの待ち時間です。


アプリは自宅の外から操作できません
SDシリーズのカタログには、専用アプリは自宅の外からは操作できないと書かれています。
アプリを使うには無線LANルーターを自分で用意して、本体と有線LANでつなぐ必要があります。置かない場合は、室内リモコン(オプション)が要ります。
さらにSDシリーズは、車がつながっていないタイミングで定期的に自動で再起動します。1〜2分のあいだ、アプリがつながらなかったり、リモコンの表示が乱れたりすることがあります。
置き場所で性能が変わります
- 動作温度 … Dは−20〜+40℃、SDは−20〜+50℃(日射の影響を含む)
- 高温時の抑制 … SDは直射日光などで温度が上がると、充放電の電力が抑えられることがあります
- 防塵防水 … DはIP46(換気口を除く)、SDはIP55相当
- 冷却 … Dはファンによる強制空冷、SDは自然空冷
※デンソー公式の取扱説明書(Dシリーズ/SDシリーズ)の機器仕様表より(2026年9月時点)。



電池開発の視点で言うと、効いてくるのは日が当たる面に置くかどうかです。
温度が上がると電力を絞る制御が入るので、真夏の午後にいちばん充電したい時間帯だけ細くなる、という形で出ます。
設置場所は、届く距離だけでなく、日当たりと風通しでも決めます。
実際に使っている人の声
みんカラに、日産リーフに乗る人が2019年に残した投稿があります。設置の記録、選んだ理由、使った感想の3本です。
その人は卒FITに合わせて導入し、税抜130万円(標準工事費込み)で買ったと書いています。デンソーを選んだ理由として挙げているのは、将来デンソーのHEMSとつなぐことと、本体の色が外壁に合うことの2つです。


使ってからの感想としては、スマートフォンで操作できる点はよかった一方、専用アプリの画面は今ひとつ、という書き方をしています。
ただしこれは初代のDシリーズの話で、投稿は2019年のものです。いまのSDシリーズは形も操作も変わっているので、そのまま当てはめられません。
他の人の感想は、どの型式のいつの話かまで見て読みます。
買ったあとの10年はどうなるか
保証の年数と、部品が手に入る期間は別の話です。順に並べます。
- Dシリーズの保証(一般住宅向け) … 引渡し日から5年
- SDシリーズの保証(一般住宅向け) … 引渡し日から10年
- 一般住宅以外 … どちらも1年
- 補修用性能部品の保有期間 … 製造打ち切り後10年(D・SDとも同じ)
※デンソー公式のよくある質問(Dシリーズ/SDシリーズ)と取扱説明書より(2026年9月時点)。
SDの10年には条件が付いています。事前確認書と施工完了報告書を提出する必要がある、と公式のよくある質問とカタログの注記に書かれています。
さらにSDシリーズは、施工講習を受けた業者でなければ工事ができません。先行工事用の資料の冒頭にそう書かれています。
この2つを合わせると、頼む相手によって保証が10年になるかどうかが変わりうる、ということになります。


終売になったDを選ぶ場合は、部品のほうが気になります。取扱説明書には補修用性能部品の保有期間は製造打ち切り後10年と書かれていて、Dの製造終了は2026年2月22日です。ここから10年が目安になります。
長いか短いかは、その家が何年使うつもりかで変わります。数字だけ置いておきます。
よくある質問
公式はオープン価格で、定価は公表されていません。販売店が掲載している金額は、Dシリーズが110万円、SDシリーズが148万円(いずれも税抜・2026年9月時点)です。本体のほかに、施工ケーブルセットと設置部材セットという必須オプションと、工事費がかかります。
出力・保証の年数・設置のしかた・対応車種の4つで決めるのが早道です。デンソーの場合、出力は3型式とも6kWで同じなので、差がつくのは保証の年数と設置のしかたになります。
一般住宅向けの保証は、Dシリーズが5年、SDシリーズが10年です(SDは書類の提出が条件)。補修用性能部品の保有期間は、どちらも製造打ち切り後10年です。
対応車種の一覧はDシリーズとSDシリーズで別のページに分かれています。基準はどちらも2026年8月現在です。年式と車両型式まで一致していないと使えないので、公式のページで自分の車を引いてください。
デンソーのカタログには、製造元が株式会社デンソー、販売元が株式会社デンソーソリューションと書かれています。それ以上の供給関係について、どちらの会社も公式に説明していないため、当サイトでは断定しません。
まとめ
- 一番安いDシリーズは2026年2月22日に製造終了。在庫が残っていれば買えます
- いま新しく選べるのは SD6075 と SD6075S の2つ。Sは重塩害地域向け
- Dは沖縄・離島と重塩害の場所には設置できません。基礎工事も必要です
- SDは本体だけでは設置できません。施工ケーブルセットと設置部材セットを各1つ選びます
- 一般住宅向けの保証はDが5年、SDが10年。10年には書類の提出という条件が付きます
見積もりを頼むときは、次の3つを先に決めて伝えると話が早く進みます。型式(SD6075/SD6075S/在庫のDのどれか)、設置のしかた(据置か壁掛か、プラグホルダは壁掛かポールか)、自分の車の年式と車両型式の3つです。
そのうえで、1つだけ確かめてください。「10年保証にするための事前確認書と施工完了報告書を出してもらえますか」という質問です。
この一言で、施工講習を受けた業者かどうかも同時に分かります。
- 【2026年版】V2Hの補助金はいくら?最大130万円の内訳と機種別の上限額型式ごとの上限額と申請の順番
- V2Hは何年で元が取れる?設置費用100万〜300万円の回収シミュレーション【2026年版】総額と回収年数
- V2Hと蓄電池はどっちがいい?EVがあれば蓄電池はいらないのか蓄電池と迷っているなら
- V2HでEVバッテリーは劣化する?影響と対策をエンジニアが検証毎日の充放電で車の電池がどうなるか


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