港区で蓄電池を入れると、いくら戻ってくるのか。区から最大20万円、東京都から最大120万円で、この2つは併用できます。
- いくら — 区から4万円/kWh・上限20万円。東京都の10万円/kWhと併用できます初期実効容量7kWhなら合計90万円。国のDR補助金は2026年5月29日に受付を終了したので、いまは都と区の2階建てです
- 誰が — 港区民の個人。太陽光発電がなくても申請できます機器の要件はSIIに登録されていることだけ。マンション管理組合や個人事業者としての申請は対象外です
- いつまで — 申請は2027年1月29日まで。ただし実質の締切はもっと手前です工事の前に申請する必要があり、審査に最大2か月かかります
- どうやって — 区が先、都が後という順序が決まっています区の交付額確定通知が、都へ提出する書類のひとつになっているためです
この4つを、港区の公式パンフレットと交付申請書の様式、東京都の実施要綱と手引きにあたって順番に見ていきます。
金額の決まり方 → 対象になる条件 → 締切から逆算した実質的なタイムリミット → 申請の順序、の順です(太陽光やV2Hも一緒に、という方向けの章は途中に置いています)。
この記事を書いた人
蓄電ラボ管理人
大手メーカーでリチウムイオン電池の開発に長年従事。さまざまな機器の電池設計・評価で培った知見をもとに、家庭用蓄電池の技術を中立的な立場で解説しています。
港区の蓄電池補助金はいくら?【結論:上限20万円】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 港区創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成金 (区の案内上の総称は「地球温暖化対策助成制度」・メニュー「3 蓄電システム」) |
| 補助単価 | 初期実効容量に応じて 40,000円/kWh |
| 上限額 | 200,000円(蓄電システム単独の上限) |
| 太陽光の要否 | 不要(機器要件はSII登録機器であることのみ) |
| 対象者 | 区民のみ(マンション管理組合等・中小企業者・個人事業者は対象外) |
| 申請期間 | 2026年4月1日〜2027年1月29日(完了報告は2027年2月26日まで) |
| 申請タイミング | 工事前申請が必須(交付決定後に着工) |
| 都との併用 | 可能 |
出典:港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット、港区創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成金交付申請書(第1号様式)、港区 蓄電システムのページ(いずれも2026年8月6日確認)。
この表のなかで条件として大きいのは、太陽光発電システムが要らないことです。
区が定める機器の要件は「一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されているもの」だけで、太陽光との同時設置や接続を求める記載はありません。蓄電池だけの設置でも申請できます。
これは23区のなかでは大きな違いです。たとえば品川区は上限30万円と港区より高いのですが、太陽光とのセット設置が条件になっています。蓄電池を単独で入れるなら、港区の条件は23区でもっとも使いやすい部類に入ります。

その20万円はどう決まる? — カタログの容量では決まらない
ただし、この20万円を誰もが満額もらえるわけではありません。港区の単価は「初期実効容量に応じて 40,000円/kWh」で、この初期実効容量という数字が、受け取れる金額を左右します。
区の交付申請書(第1号様式)には容量の記入欄が「初期実効容量」として設けられていて、パンフレットには次の注記があります。
※ 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)のホームページに掲載されている値とします。
港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット
つまり、自分で計算する数字ではなく、SIIが公表している登録機器ごとの値を使います。
蓄電池の容量には呼び方が3つある
ここでつまずきやすいのが容量の呼び方です。カタログの表紙に大きく載っている「7.0kWh」のような数字と、区や都が計算に使う数字は、同じ機種でも一致しません。まず3つを整理します。

| 呼び方 | どう決まる数字か | 使う制度 |
|---|---|---|
| 定格容量 | 電池が理論上ためられる量。メーカーがカタログに載せる | カタログ表示用(品川区は書類として提出) |
| 蓄電容量 | 単電池の定格容量×公称電圧×セルの数。SIIが算出して登録一覧に載せる | 東京都 |
| 初期実効容量 | 実際に出し入れできる量。JIS C 4413などの方法で算出し、登録一覧に載る | 港区/国のDR補助金(終了) |
- 使わない領域をどれだけ取るかは、寿命と容量のトレードオフ蓄電池は満充電から空になるまで使い切る設計にはなっていません。安全側に広く余白を取れば長持ちしますが、そのぶん使える容量は小さくなります。メーカーごとに設計思想が違うので、定格が同じでも初期実効容量は製品によって差が出ます。
都に出す「蓄電容量」はカタログの数字ではない
東京都は「蓄電容量」としか書いていません。令和8年度の助成金申請の手引きを最初から最後まで見ても、「定格容量」も「初期実効容量」も一度も出てきません。
手がかりは対象機器の条件のほうにあり、都は助成の対象を、SII(環境共創イニシアチブ)が【パッケージ型番】として登録している蓄電池システムに限っています。そのSIIの一覧で、蓄電容量の欄にはこう注記されています。
単電池の定格容量、単電池の公称電圧、セルの数の積で算出された値です。(小数点第二位以下は切り捨て)製品HP、カタログ等に掲載されている値とは異なるのでご注意ください。
SII「蓄電システム 登録済製品一覧」※2 蓄電容量について
蓄電容量が指しているのは、定格容量と同じ「電池ぜんぶ」の量です。それでも数字がそろわないのは、SIIがセルの仕様から計算し直しているからです。
見積もりの段階で施工会社に「SII登録一覧の蓄電容量は何kWhですか」と聞いておけば確認できます。
港区の助成は「5kWh」で頭打ちになる
単価4万円/kWhと上限20万円を並べると、ひとつ性質が見えてきます。
- 初期実効容量 5kWh × 40,000円 = 200,000円(上限に到達)
つまり初期実効容量が5kWhを超える機種なら、港区から受け取れる額はどれを選んでも20万円です。容量を増やしたぶんだけ助成が伸びるのは、東京都の側(10万円/kWh)だけになります。
逆に、初期実効容量が5kWhに届かない機種では、容量に応じて助成額が20万円より小さくなります。
見積書のどこを見ればいいか
見積書に型番が載っていれば、SIIの登録済製品一覧で該当機種の初期実効容量を確認できます。ただ、いちばん早いのは施工会社に「この機種の初期実効容量は何kWhですか」と直接聞くことです。
補助金の申請を扱っている会社であれば、この質問には慣れているはずです。
東京都と合わせるといくらになる? — 容量別の早見表
港区から取れる額は5kWhで頭打ちでした。ここから先を伸ばすのは東京都の側です。そして都と区の助成は、両方受け取れます。
容量ごとの合計額を先に示します。
| 初期実効容量 | 港区 | 東京都 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 4kWh | 16万円 | 40万円 | 56万円 |
| 5kWh | 20万円(上限に到達) | 50万円 | 70万円 |
| 7kWh | 20万円(上限) | 70万円 | 90万円 |
| 10kWh | 20万円(上限) | 100万円 | 120万円 |
5kWhを境に、港区の欄が動かなくなります。容量を増やして助成が伸びるのは東京都の側だけです。
※ すべて税抜・DR実証に参加しない場合。港区は「初期実効容量」、東京都は「蓄電容量」と表記しており、本記事では同一の値で試算しています。実際の交付額は機器のSII登録値で決まるため、見積もりの段階で施工会社に確認してください。
導入費用そのものが何年で回収できるかは蓄電池は何年で元が取れるのかに、東京都の制度全体は東京都の蓄電池補助金ガイドにまとめています。

なぜ両方もらえるのか — 区も都も、重ねることを認めている
- 港区 = 他の制度と併用してよいただし「相手方にも確認を」と付いています
- 東京都 = 合計が設置費用を超えなければ出す他から補助金を受けること自体は禁じていません
- だから、区の20万円と都の助成は両方受け取れる
それぞれの原文を確認します。まず港区のパンフレット。
他機関の助成制度との併用が可能です。ただし、他機関側により併用が禁止されている場合もありますので、必ず併用先にもお問い合わせください。
港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット
区は「よい」と言っていて、判断は相手方しだい、という書き方です。区のよくある質問のページにも「併用が可能か否かについては併用したい相手方の条件によります」と同じ趣旨の回答があります。
では相手方の東京都。実施要綱(第4-4)の条文です。
ただし、助成対象機器の設置に係る機器費、工事費又は保険料及び検査料について国又は他の地方公共団体による補助金の交付を受ける場合にあっては、助成金の交付額と当該補助金の額の合計額が助成対象経費を超えない範囲において交付するものとする。
東京都「家庭における蓄電池導入促進事業」実施要綱 第4-4
長い一文ですが、言っているのはひとつです。「他から補助金をもらうなら、2つ合わせて設置費用を超えない範囲で出す」。禁止ではなく、金額の上限を決めているだけです。
都は区の補助を受けることを前提に条文を組んでいます。
※ ここでいう設置費用は、要綱では「助成対象経費」と呼ばれ、第4-3で「助成対象機器の設置に係る機器費及び工事費」(税抜)と定義されています。蓄電池本体の代金を含み、工事の手間賃だけではありません。都の公式ページにも「都内区市町村でも蓄電池システムに対する補助を行っている場合がありますので、各区市町村にお問合せください」という案内があります。
港区の20万円を引かれても、都の助成は減らない
都の計算式には「- 国および他の地方公共団体からの補助金」という項があります。港区の20万円がそこで引かれるぶん、都の助成も削られるのではないか。そう読めますが、条件をひとつ満たしていれば実際には減りません。
- 工事の見積総額が、もらえる補助金の合計より高いこと見積総額=機器代+工事費(税抜)。補助金の合計=早見表のいちばん右の数字です
- 分かれ目は、7kWhなら90万円・10kWhなら120万円見積がこの額を超えていれば、早見表どおりに出ます。工事費込みでこれを下回る蓄電池はまずないので、表はそのまま使って差し支えありません
- 下回るときだけ、都の助成が表より減ります見積が想定より安いときは、機器のグレードや工事範囲が違っている可能性もあります。都の助成額とあわせて確認してください
なぜそうなるのか、都の計算式で確かめます。
- 対象経費 =(蓄電池システム機器費 + 蓄電池システム工事費 + IoT機器費 + IoT工事費)- 国および他の地方公共団体からの補助金
- 助成額 = 蓄電容量 × 10万円 + DR実証参加10万円 +(IoT機器設置台数 × 5万円)
- この2つを比べて、小さいほうが助成金額(千円未満切り捨て・税抜計算)
港区は地方公共団体ですから、20万円は①の末尾で引かれます。ただし引かれるのは①だけで、②は容量だけで決まります。数字を入れてみます。
東京都の助成額の決まり方
初期実効容量7kWh・機器費と工事費を合わせて150万円(税抜)のケース。DR実証には参加しない前提です。①②の呼び方は手引きの表記に合わせています。
①は130万円、②は70万円。小さいのは②なので、港区の20万円を引いても都の助成額は70万円のままです。①が②を上回ってさえいればよく、それを整理したのが冒頭の条件になります。
いずれも税抜・DR実証に参加しない場合の試算です。都の公式サイトには「1と2を比較し、どちらか小さい方を助成金額とします」「蓄電容量:10万円/kWh(助成対象経費(税抜)が上限になります)」と明記されています。
都の120万円という上限は、外れることがある
もうひとつ、120万円という数字の位置づけも整理しておきます。実施要綱では、この上限は「DR実証に参加しない場合は、1戸当たり1,200,000円を上限額とし」という書き方で出てきます。
ここから読み取れることが2つあります。
- 120万円は、都の助成金だけにかかる上限港区の20万円を足して120万円で打ち止め、という意味ではない。早見表の10kWhの行が合計120万円になっているのは偶然で、都の分は100万円だから上限には当たっていない
- 上限は「参加しない場合」の中にしか書かれていないDR実証に参加すると、120万円の上限設定そのものが外れる。あわせて10万円、対応機器1台につき5万円が加算される
ただし都のDR実証は、途中で解約したり協力しなかったりすると増額分の返還を求められる場合があります。また交付申請兼実績報告の受付後に「参加しない」から「参加する」へ変更することはできません。
申し込みの段階で決めておく必要があります。
なお、ここでいう都のDR実証は、このあと触れる国のDR補助金とは別の制度です。名前が似ているので混同しないでください。
国の補助金は上乗せできない — 2026年5月29日に受付終了
かつては国のDR補助金(3.45万円/kWh・上限60万円)も重ねられましたが、いまは使えません。SIIの公式サイトに次の告知が出ています。
2026年5月29日(金)に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したため、公募は終了しました。
SII 令和7年度補正 蓄電システム等導入支援事業
公募期間は2026年12月10日までとされていましたが、予算に達したため前倒しで終了しました。公募要領にも「補助金申請額の合計が予算額に達した場合、申請受付期間内であっても交付申請の受付を終了する」と明記されています。
- いま使えるのは、東京都と港区の2階建てです「国+都+区の3階建て」という説明を見かけたら、2026年5月以前の情報の可能性があります。制度上3つを重ねること自体は可能でしたが、国の枠はすでに閉じています
港区20万円と都の助成を両方取りにいくなら、申請の順序まで含めて任せられる会社を選ぶ
区と都で申請が2本立てになり、提出の順序も決まっています。書類の準備そのものより、順序と締切の管理でつまずくほうが多いのがこの制度です。
省エネタイガーは東京都に特化した見積もりサービスで、東京都の補助金を事前の申込から実績報告まで一気通貫で支援し、書類・写真の整備から電子申請の入力まで追加費用なしで対応すると公表しています。
無料で見積もりだけ取ることもできます。
対応は東京都・戸建てが中心です。サービスの比べ方は東京で蓄電池の見積もりを取るならにまとめています。
自分は対象になる? — 誰が・どんな機器が
合計で最大90万円。では、これを受け取れるのはどんな人で、どんな機器なのかを確認します。
港区の蓄電池助成を受けられる条件
※ 港区の令和8年度パンフレット・交付申請書(第1号様式)・蓄電システムのページより作成(2026年8月6日確認)。新築・既存はどちらも対象で、所得制限の記載はありません。
対象になるのは「区民」だけ — ただしマンション不可という意味ではない
港区の助成対象メニュー表では、蓄電システムの欄は「区民=20万円/マンション管理組合等=×/中小企業者・個人事業者=×/新築=○/既存=○」となっています。
これは「マンションに住んでいると申請できない」という意味ではありません。対象外になるのは管理組合として申請する場合です。
区の提出書類には「設置同意書(機器を設置する建築物が共有又は賃借建築物等の場合のみ提出)」があり、共有建築物や賃借建築物への設置そのものは想定されています。

とはいえ、集合住宅の専有部に家庭用蓄電池を設置できるかは建物の条件しだいです。判断が分かれるところなので、区の環境課地球環境係(03-3578-2496)に個別に確認するのが確実です。
太陽光・V2H・EV充電設備も一緒に入れるなら
蓄電池だけを入れる方は、この章を読み飛ばして構いません。港区には太陽光やEV充電設備のメニューもあり、組み合わせるときだけ注意点があります。
- 太陽光 40万円蓄電池の20万円と両方もらえる。区から最大60万円
- EV充電設備 経費の1/4蓄電池とは別のメニュー。V2Hが対象かは機種の型番しだい
- パワコンを兼用する機種費用をどの機器に寄せるかで、助成額が変わる
太陽光の40万円と蓄電池の20万円は、両方もらえる
ここは誤解しやすいところです。パンフレットにこう書かれているせいで、蓄電池を選んだら太陽光の40万円はあきらめることになりそうに読めます。
なお、区の他の助成制度とは併用できません。
港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット
そうではありません。交付申請書のチェック欄は「対象機器等について、区の他の助成制度とは併用しません」と限定が付いていて、区の例規集にある要綱を見るとはっきりします。
助成は、同一の種類の対象機器等について、一の建築物につき、1回限りとする。
港区創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成要綱 第3条第5項
同じ種類の機器で2回はもらえない、と言っているだけです。そして要綱の別表では、太陽光発電システムと蓄電システムは別々の「対象機器等」として並んでいます。
- 太陽光40万円 + 蓄電池20万円 = 区から最大60万円種類が違うので、それぞれ助成を受けられます。申請書は機器1種類につき1部です
- できないのは、同じ機器で区の助成を二重に受けること蓄電池1台について、区の別の制度からも助成を受けるという取り方はできません
※ 港区創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成要綱の第3条および別表で確認(2026年8月11日)。太陽光の助成額は出力1kWあたり10万円・上限40万円です。区にはこのほかエネファーム15万円などのメニューもあり、いずれも種類が違えば併せて申請できます。交付申請書(第1号様式)のチェック欄も同じ趣旨です。
EV充電設備は別メニュー — V2Hが対象かは型番しだい
| 港区のメニュー | 助成額 | 上限基数 |
|---|---|---|
| 急速充電設備 | 経費の1/4(上限50万円) | 1基 |
| 普通充電設備 | 経費の1/4(1基あたり10万円) | 5基 |
50万円・10万円は上限で、実際にもらえるのは設置費用の4分の1です。普通充電設備を15万円で付けたなら、助成は3万7千円(千円未満切り捨て)になります。
※ 港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレットより(2026年8月11日確認)。蓄電システムは区民限定ですが、充電設備はマンション管理組合等・中小企業者・リース事業者も対象です。「設置に要する経費」に消費税は含みません。
そして「V2Hも対象」と書いている解説を見かけますが、区の資料にV2Hという語はありません。あるのは「電気自動車等用充電設備」というメニュー名だけで、対象かどうかは区が指定するこの要件で決まります。
一般社団法人次世代自動車振興センターに登録されている充電設備であること
港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット
同センターでは「充電設備」と「V2H充放電設備」が別々の補助事業で、対象機器の一覧も別々です。港区が案内しているのは前者、「補助対象充電設備一覧」のほう。つまりV2Hだから対象、とは言えません。
- 検討中の機種を、補助対象充電設備一覧で探す次世代自動車振興センターの一覧に載っていなければ、区の助成の対象にはなりません
- 蓄電池と両方を狙うなら、環境課地球環境係(03-3578-2496)に確認する充電設備は蓄電池とは別の制度で、要綱に「充電」の語も出てきません。機器が違うので重ならないはずですが、太陽光の40万円のように条文で読み切れるわけではありません

パワコンを兼用する機種は、見積書の書き方で助成額が変わる
蓄電池とV2Hと太陽光を一度に入れる場合、都の側にもうひとつ落とし穴があります。トライブリッドやハイブリッドのパワーコンディショナを使うときです。
トライブリッド・ハイブリッド等、同一のパワーコンディショナが含まれる複数機器を複数事業に申請する場合、どれか一つの事業にパワーコンディショナの費用を寄せて申請を行ってください。その際、事業の優先度は、「蓄電池>V2H>太陽光」としてください。
東京都「家庭における蓄電池導入促進事業」申請の手引き
1台のパワコンで蓄電池も太陽光もV2Hも動かす機種なら、その費用はどれか1つの事業にだけ計上します。優先されるのは蓄電池です。つまり見積書の作り方しだいで助成額が変わります。
この構成を考えているなら、見積もりの段階で施工会社に伝えておいてください。省エネタイガーのように東京都の助成に慣れている会社なら、この寄せ方まで含めて組み立てられます。
いつまでに動けばいい? — 実質の締切は日付より手前
条件を満たしていても、期限を過ぎると受け取れません。港区の期限は次のとおりです。
- 交付申請期間:2026年4月1日(水)〜2027年1月29日(金)
- 完了報告期限:2027年2月26日(金)
- 年度をまたぐ申請はできない
工事の前に申請する — ここがいちばん大事
港区の助成は工事前申請が必須です。交付決定の通知を受け取ってから着工します。先に工事を始めてしまうと、その時点で対象外です。
港区が明記しているのは「工事着工前に申請」「通知が届いた後に工事を着工」の2点で、契約をいつ結んでよいかは公開資料に書かれていません。交付決定を待ってから契約するのがいちばん安全です。先に契約したい事情があるなら、環境課地球環境係(03-3578-2496)に確認してください。
そして審査には時間がかかります。パンフレットの記載は次のとおりです。
【審査】 2週間から1か月程度 / 交付申請の受付状況によって審査期間が2か月程度かかる場合があります。
港区「令和8年度 地球温暖化対策助成制度」パンフレット
申請期限の2027年1月29日ぎりぎりに出しても、そこから審査・交付決定・着工・工事完了・完了報告を2027年2月26日までに終える必要があります。実質的な締切は、書かれている日付よりずっと手前だと考えたほうが安全です。
もうひとつ、見積もりを取ったその足で申請できるわけではありません。港区の交付申請には交付申請書・見積書の写し・機器要件の検索結果画面・カタログ・現況の写真・設置同意書・本人確認書類の7点が必要です。
写真や同意書をそろえるのに、施工会社とのやり取りで数週間かかります。
見積もりを取りはじめてから着工できるまでを、実際の時間で並べるとこうなります。
見積もりから着工までにかかる時間
見積もりに4週間・書類の準備に4週間・審査に2か月かかった、いちばん長いケースの長さで描いています。交付決定の通知を受け取る前に着工してしまうと、その時点で対象外です。完了報告の期限である2027年2月26日から逆算すると、遅くとも2026年11月には見積もりを取り始めておきたいところです。
| やること | 遅くともこの時期には |
|---|---|
| 見積もりを取って機種を決める | 着工予定の4か月前 |
| 申請書類をそろえる(施工会社と) | 着工予定の3か月前 |
| 港区へ交付申請(工事前) | 着工予定の2か月前 |
| 港区の交付決定を待つ | 申請から2週間〜2か月 |
| 契約・着工・工事完了・支払い | 交付決定を受けてから |
| 港区へ完了報告 | 2027年2月26日まで |
審査が最長の2か月かかった場合の逆算です。2週間で決定が下りれば、そのぶん前倒しできます。
予算がなくなったら終わり — 残額は公表されていない
港区は先着でも抽選でもなく、予算消化方式です。パンフレットには「※予算がなくなり次第、終了します。」とあります。期分けはなく通年1本です。
ただし予算の残額は公表されていません。2026年8月時点では申請期間内ですが、残枠があるかどうかは公表資料からは判断できません。
着工を具体的に考えている段階なら、環境課地球環境係(03-3578-2496)に電話で確認するのが確実です。
東京都は「10月1日」で対象機器が変わる
港区とは別に、東京都の側にも区切りがあります。
令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、助成対象機器の要件が変わります。国の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(戸建て住宅・集合住宅のZEH化・省CO2化促進事業)」における補助対象機器として、SIIによって令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが助成対象となります。
東京都「家庭における蓄電池導入促進事業(令和8年度)」
これまでは令和4〜7年度に登録された機器も対象でしたが、10月1日以降に事前申込をする分からは令和8年度の登録機器に限られます。
検討している機種が令和8年度の一覧に載っているかどうかで、都の助成が使えるかどうかが変わります。
※ 2026年4月1日から6月30日までに契約締結、または契約・工事が完了した事業は除外されます。
工事前申請と10月1日の区切り、どちらにも間に合うかを先に確かめる
港区は工事前申請が必須で、審査に最大2か月。都は10月1日から対象機器の条件が変わります。動ける期間は思っているより短くなります。
省エネタイガーは東京都に特化した見積もりサービスで、東京都の補助金の申請を事前の申込から実績報告まで支援すると公表しています。
いまの検討状況で申請が間に合うか、機種が要件を満たすかは、見積もりの段階で確認できます。
対応は東京都・戸建てが中心です。無料で見積もりのみの依頼もできます。
どの順で申請する? — 区が先、都が後
条件も期限も分かったところで、最後に手続きの順序です。ここがいちばんつまずきやすく、区と都は出す順番が決まっています。
理由は都の提出書類にあります。交付要綱の別表には、提出書類の9番として次が挙げられています。
9 国及び他の地方公共団体による補助金の交付額確定通知書 ※国及び他の補助金に申請した場合に限る。
東京都「家庭における蓄電池導入促進事業」交付要綱 別表2
つまり都に実績報告を出すとき、港区の「交付額確定通知書」を添える必要があります。区の額が確定していないと、都の手続きが先に進みません。
- 東京都へ事前申込(令和8年5月29日開始)
- 港区へ交付申請(工事前・2027年1月29日まで)
- 港区の交付決定通知を受け取る(2週間〜2か月)
- 契約・着工・工事完了・支払い
- 港区へ完了報告(2027年2月26日まで)
- 港区の交付額確定通知を受け取る
- 東京都へ交付申請兼実績報告(6の通知を添付)
区の要綱には、国や東京都から助成金の交付を受けている場合は、その額を差し引いた額をもとに区の助成額を算出する、という条文もあります(第3条第4項)。都の助成金が実際に交付されるのは実績報告のあとなので、区が先・都が後というこの順序で進めるかぎり、ここに当たることはありません。
港区は交付申請・変更申請・取下げ申請をオンラインでできますが、完了報告だけはオンライン不可です。郵送か窓口(港区芝公園1-5-25 区役所8階 環境課地球環境係)になります。
また、交付申請書は助成対象メニュー1種類につき1部ずつ必要です。
最新の様式・提出先・受付状況は、港区の公式ページで必ず確認してください。
港区公式「蓄電システム(地球温暖化対策助成制度)」
この手続き、自分でやる? 任せる?
ここまで見てきたとおり、港区と東京都を両方取りにいくと申請は2本立てになり、出す順序も決まっています。工事の前に申請を出し、交付決定を待ってから着工し、完了報告は郵送か窓口へ。
この流れを自分で管理することもできます。
いっぽうで、見積もりサービスや施工会社のなかには、この申請を代行するところがあります。書類の準備そのものより、順序と締切の管理でつまずくほうが多い制度なので、任せられる範囲は会社選びの判断材料になります。

- どこまで代行してくれるか書類の作成だけか、現況写真の撮影やオンライン申請の入力まで含むかで手間がまったく変わります
- 区と都の両方をやってくれるか港区と東京都は別々の手続きです。片方だけの代行だと、結局もう片方は自分で出すことになります
- 追加費用がかかるか代行を有料オプションにしている会社と、無料で含めている会社があります
- 完了報告まで見てくれるか港区の完了報告はオンライン不可で、2027年2月26日という別の期限があります
たとえば省エネタイガーは東京都に特化した見積もりサービスで、東京都の補助金については、事前の申込から交付申請、実績報告まで一気通貫で支援すると公表しています。
書類・写真・図面の整備、電子申請の入力、差戻しへの対応までとあり、申請サポートに追加費用はかからないとも明記しています。
ただしこれは東京都の手続きについての説明です。神奈川県向けの解説では「県および市区町村ごとの補助金」の申請も支援するとあるので、区を扱わない会社ではなさそうです。
申し込むときに「港区の申請もお願いできますか」と確認しておくと確実です。
実際に使った人の評価が気になるなら省エネタイガーの評判・口コミにまとめています。
港区の蓄電池補助金についてよくある質問
もらえます。港区が定める機器の要件は「SIIに登録されているもの」だけで、太陽光との同時設置や接続の要件は記載がありません。東京都のほうも、①太陽光が既設、②蓄電池と同時に太陽光を新設、③再生可能エネルギー電力メニューを契約済み、のいずれかを満たせばよく、③であれば太陽光がなくても申請できます。
「マンション管理組合等」としての申請はできません。ただし区民個人としての申請までは否定されておらず、共有建築物・賃借建築物への設置には設置同意書の提出が求められています。専有部に設置できるかは建物の条件によるので、環境課地球環境係(03-3578-2496)へ個別に確認してください。
できます。区の要綱は「助成は、同一の種類の対象機器等について、一の建築物につき、1回限りとする」(第3条第5項)と定めていて、制限がかかるのは同じ種類の機器どうしです。別表では太陽光発電システムと蓄電システムが別々の対象機器等として並んでいるので、両方あわせて区から最大60万円になります。申請書は機器1種類につき1部、完了報告も対象機器等ごとに提出します。パンフレットの「区の他の助成制度とは併用できません」は、交付申請書では「対象機器等について」と限定されており、同じ機器に区の別制度を重ねない、という意味です。
提出書類に「設置同意書(機器を設置する建築物が共有又は賃借建築物等の場合のみ提出)」があることから、所有者の同意があれば賃借人でも申請の余地があると読めます。ただし明示的な記載は確認できていないため、こちらも事前の確認が必要です。
蓄電池とは別メニューです。港区には「電気自動車等用充電設備」があり、急速・普通とも設置費用の4分の1(上限は急速50万円、普通は1基あたり10万円)です。ただし区のパンフレットにも要綱にも「V2H」という語はなく、要件は「次世代自動車振興センターに登録されている充電設備であること」。同センターでは充電設備とV2H充放電設備が別の補助事業なので、V2Hが対象になるかは機種を決めたうえで環境課地球環境係(03-3578-2496)に確認してください。
補助金は負担額を下げますが、向き不向きまでは変えません。蓄電池が合うかどうかは、停電への備えをどれだけ重く見るか、そして昼につくった電気や夜間の安い電気をどれだけ自分の家で使い切れるかで決まります。港区と東京都を合わせて最大90万円が出ても、電気の使い方が合わなければ回収は長くなります。蓄電池はやめたほうがいい?と言われる理由と何年で元が取れるのかを先に読んで、そのうえで申請の準備に進むのが確実です。
まとめ — 港区で蓄電池の補助金を取りにいくなら
- 港区は4万円/kWh・上限20万円。太陽光は不要蓄電池を単独で入れるなら23区でも使いやすい条件。ただし金額は定格容量ではなく初期実効容量で決まり、5kWhで上限に当たる
- 東京都の10万円/kWhと併用できる。ただし順序がある区の交付額が確定してから都の実績報告。国のDR補助金は2026年5月29日に終了しているので、いまは2階建て
- 工事前申請が必須で、審査に最大2か月予算がなくなり次第終了で残額は非公表。申請期限の日付より、実質的な締切はずっと手前
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補助金は、制度を知っているかどうかより申請の順序と締切を管理できるかどうかで結果が変わります。工事前申請を落とすと、そこで対象外になります。
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本記事の金額・期限は2026年8月6日時点で、港区および東京都の公表資料をもとに整理したものです。予算の消化状況によって受付が終了する場合があります。申請の前に必ず各窓口で最新の情報をご確認ください。
