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東京都で蓄電池の導入を考え始めると、まず気になるのが「補助金は結局いくらで、自分の実質負担はどこまで下がるのか」という点ではないでしょうか。制度の名前や金額が次々と出てきて、自分のケースに当てはめると分からなくなる——そんな声をよく見かけます。
先に結論をお伝えすると、東京都の蓄電池補助金は10万円/kWh・上限120万円という、全国でもトップクラスに手厚い水準です。令和8年度(2026年度)の予算は前年から約44%増えて1,012億円に拡大しており、採択される可能性はむしろ上がっています。さらにお住まいの区市町村が独自の上乗せを用意していれば、実質負担はもう一段下がります。
一方で、国のデマンドレスポンス(DR)補助金は2026年5月29日に予算上限へ達し、年度内の受付を終了しました。ただ、ちょうど同じ5月29日に東京都が令和8年度の事前申込を受付開始しています。この記事では、いま東京都民が実際に使える補助金を、5kWh・7kWh・10kWhの容量別に「実質負担いくらか」までシミュレーションします。
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この記事を書いた人
蓄電ラボ管理人
大手メーカーで電池開発に長年携わってきたエンジニア。BMS(バッテリーマネジメントシステム:電池の状態を監視・制御する装置)やセルの充放電制御を専門とし、メーカーの公開仕様や学術データをエンジニアの視点で読み解いて、中立な立場から解説します。
東京都の蓄電池補助金、令和8年度(2026年度)はいくら?
東京都の蓄電池補助金は、令和8年度(2026年度)も全国トップクラスの手厚さが続いています。基本となるのは、蓄電池の容量に応じた10万円/kWh・上限120万円の助成です。たとえば10kWhの蓄電池なら、それだけで100万円が補助される計算になります。
これに加えて、「DR実証加算」という上乗せがあります。DR(デマンドレスポンス)とは、電力が足りなくなりそうな時間帯に、家庭の蓄電池を少しだけ放電させて電力の需給バランスを助ける仕組みのことです。エネルギーマネジメント機器とIoT機器を新たに設置してこの実証に参加すると+15万円/台、すでにある機器を活用する場合は +10万円/台が上乗せされます。なお、新たに設置するIoT機器が蓄電池のパッケージに含まれている場合の加算は +10万円/台になります。
なお、名前が似ているので補足すると、いま触れた東京都の「DR実証加算」とは別に、国にも「DR補助金」がありました。この国のDR補助金(令和7年度補正予算)は、2026年5月29日に予算上限へ達して受付を終了しています。再開の予定は公表されておらず、次の機会は2027年度以降の見込みです。
いま東京都で使える主役は「東京都+お住まいの区市町村」の助成です。国の受付が終了したのとちょうど同じ5月29日に、東京都は令和8年度の事前申込を受付開始しています。国の補助金を前提にした古い情報のままだと負担額を読み違えやすいため、この記事では東京都+区市町村の最新の枠組みで整理していきます。
補助の対象になるには、主に2つの条件があります。1つは、SII(環境共創イニシアチブ:国の補助事業を運営する団体)に登録された蓄電池であること。もう1つは、太陽光発電に関する要件(太陽光を設置済み・蓄電池と同時に設置・再生可能エネルギー由来の電力契約のいずれか)を満たすことです。検討している機種が対象かどうかは、SIIの登録製品検索ページで型番から確認できます。
注意したいのは、一部の海外メーカー製蓄電池がこの登録要件を満たしていない可能性がある点です。たとえばテスラのPowerwall(パワーウォール)は、国内の認証や登録の状況から対象外となるケースが想定されます。補助金込みの実質価格で国内メーカーと比べたい方は、テスラPowerwallの記事も参考にしてください。
容量別シミュレーション:東京都+区市町村で実質負担はここまで下がる
ここからが本記事の中心です。「制度の金額」だけ見ても、自分の実質負担はイメージしにくいもの。そこで、東京都の補助(基本+DR実証加算)と、お住まいの区市町村の上乗せを足し合わせて、5kWh・7kWh・10kWhの容量別に実質負担を試算しました。区市町村の例として、ここでは定額10万円の中野区を当てはめています。
| 容量 | 機器・工事費(目安) | 都+中野区の補助 | 実質負担 | DR実証加算込み |
|---|---|---|---|---|
| 5kWh | 約105万円 | −60万円 | 約45万円 | 約30万円 |
| 7kWh | 約140万円 | −80万円 | 約60万円 | 約45万円 |
| 10kWh | 約175万円 | −110万円 | 約65万円 | 約50万円 |
令和8年度(2026年6月時点)の制度に基づく試算。機器・工事費および各自治体の最新値は、申請前に必ず再確認してください。
容量別 実質負担シミュレーション(東京都+中野区の例)
補助で機器・工事費の半分以上がカバーされ、実質負担は3割前後にとどまります。
令和8年度(2026年6月時点)・中野区を例とした試算。棒はDR実証加算(+15万円)を使った場合。加算を使わない場合は実質負担が各容量で+15万円(例:5kWh 約45万円)。機器・工事費および各自治体の最新値は申請前に再確認してください。
表を読むときのポイントを補足します。
- 機器・工事費はあくまで目安です。容量が大きいほど1kWhあたりの単価は下がる傾向があり、実際の金額は見積もりで変わります。
- 区市町村の補助は自治体ごとに大きく異なります。たとえば江東区は1万円/kWh・上限10万円(太陽光発電と同時に申請すると2.5万円/kWh・上限20万円)、府中市は2万円/kWh・上限10万円といった形です。一方で世田谷区・渋谷区・練馬区・江戸川区などは区独自の補助がなく、東京都の補助のみとなります。ただし、区独自の上乗せがない地域でも、東京都の助成だけで機器・工事費のおよそ半分が補助される計算です。お住まいが上乗せ対象外でも、実質負担は十分に下がります。
- 東京都と区市町村の補助は併用できます(自治体ごとに条件が異なるため要確認)。ただし、東京都内の他の助成事業との重複は対象外です。
- 国のDR補助金は2026年度で終了しているため、この試算には含めていません。
東京都の助成は、単独でも全国トップクラスの水準です。区市町村の上乗せまで含めれば、機器・工事費の半分以上が補助でまかなえるケースも十分に現実的です。
なお、上の表はDR実証加算(+15万円)を使った場合の数字です。加算を使わない場合は各容量で +15万円となり、たとえば5kWhなら実質約45万円が目安になります。DR実証加算を取りに行くべきかどうかは、次のH2で技術的な観点から掘り下げます。
DR実証加算 +15万円/台、エンジニアはどう見るか
「+15万円はうれしいけれど、蓄電池を遠隔で充放電させて大丈夫なの?」——DR実証加算で気になるのはこの点だと思います。電池開発の現場の感覚から先に結論をお伝えすると、DR実証への参加で電池にかかる負荷の増加は、心配しすぎなくてよいレベルです。
理由は、家庭用蓄電池の寿命の決まり方にあります。蓄電池の劣化は大きく2種類に分けられます。1つは「使った回数(充放電サイクル)」による劣化、もう1つは「ただ置いておく時間」による劣化(暦月劣化)です。そして家庭用蓄電池では、この暦月劣化が寿命を左右する側面が大きいことが知られています。DR実証で放電の回数が多少増えても、暦月劣化が支配的である以上、寿命を大きく縮める方向には働きにくいのです(この点は蓄電池の劣化メカニズムの記事でも詳しく触れています)。
ですから、DR実証への参加が原因で電池を傷めてしまう心配は、過度にする必要はありません。こうした参加は、通常はメーカー保証が想定する使い方の範囲に収まります。保証の範囲から大きく外れるような運用を求められない限り、+15万円/台は取りに行く価値が十分にあると考えます。
「DRは年に何回くらい発動するのか」「生活に支障は出ないのか」が気になる方もいるはずです。発動の回数そのものは制御手法がアグリゲーターごとに異なり、公的機関も具体的な数字は公表していません(2026年6月時点)。ただ、制御の仕組み自体は安全側に設計されています。遠隔制御は需給がひっ迫した場面などに、蓄電池にためた電気を家庭内で優先的に使うモードへ切り替える形が基本で、停電になるわけではありません(環境共創イニシアチブ「DR家庭用蓄電池事業 よくあるご質問」Q7・2025年時点)。国が示すDRready要件でも、制御はあらかじめ設定したバックアップ用の残量を踏まえて行われ、制御が終わったあとや通信が途切れたときは元のモードに戻ることが求められています(経済産業省 DRready勉強会資料・2026年3月時点)。寿命を決めるのが暦月劣化である以上、頻度の多い少ないにかかわらず影響は小さいという見立ては変わりませんが、気になる方は契約予定のアグリゲーターに発動回数の目安と保証への影響を確認しておくと安心です。
蓄電ラボ管理人DR実証で電池にどれだけ負荷がかかるかは、運用次第で読みきれない部分もあります。ただ家庭用蓄電池は“使った回数”より“置いておく時間”で寿命が決まる側面が大きく、放電が少し増えても大きな差にはなりにくい。メーカー保証の範囲から大きく外れない限り、+15万円は取りに行く価値が十分あると思います。
申請の流れ:3ステップで整理
東京都の蓄電池補助は、大きく3つのステップで進みます。順番に確認しておけば、流れに迷うことはありません。
ステップ①:事前申込(令和8年5月29日 受付開始)
工事や契約を始める前に、まず事前申込を行います。令和8年度は5月29日から受付が始まっています。ここで補助の枠を確保するイメージです。
ステップ②:交付申請 兼 実績報告(令和8年6月30日 開始予定)
事前申込のあと、交付申請に進みます。令和8年度は6月30日の開始が予定されています。必要書類をそろえて提出する段階です。
ステップ③:実績報告(金融機関発行の証明書が必要)
設置・支払いが完了したら、実績報告を行います。令和8年度から、金融機関が発行する証明書の提出が必要になりました。提出する書類が増えるため、早めに準備を進めておくと安心です。
一連の手続きでは書類・図面・電子申請をそろえる必要があるため、準備に不安がある場合は、申請を代行してくれるサービスを利用する方法もあります。
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前のセクションで見たとおり、東京都の補助金は事前申込から実績報告まで段階が分かれ、書類や図面、令和8年度から加わった金融機関の証明書までそろえる必要があります。「制度は分かったが、自分でこの手続きを進めるのは少し不安」——そう感じた方に向いているのが、申請まで任せられるサービスです。
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よくある質問(FAQ)
区市町村の補助は多くが先着順で、予算に達し次第その年度の受付を終了します。東京都の補助も年度内の手続きが前提です。検討中の方は、事前申込の枠があるうちに早めに確認しておくのがおすすめです。
東京都の基本単価は令和8年度に10万円/kWhとなり、令和7年度と比べると約17%下がりました。ただし、年度全体の予算(太陽光・断熱を含む関連事業の総額)は前年比+44%(1,012億円)に拡大しています。単価は下がったものの予算枠は広がっているため、採択される可能性という点ではむしろ追い風です。
補助の対象は基本的に、蓄電池を設置する建物の所有者です。分譲マンションの専有部や賃貸物件は、設置可否や所有関係の確認が必要になるケースが多いため、まずはご自身の住まいの条件を確認することをおすすめします。
はい。国のDR補助金(令和7年度補正予算)は2026年5月29日に予算上限へ達し、年度内の受付を終了しました。再開の予定は公表されておらず、次の機会は2027年度以降の見込みです。現時点で使えるのは、東京都+区市町村の助成です。
補助金は一時所得などとして扱われる場合があり、金額や他の所得との兼ね合いで申告が必要になることがあります。判断に迷う場合は、税務署や税理士など専門家に確認するのが確実です。
併用できます(自治体ごとに条件が異なるため要確認)。詳しい組み合わせと実質負担は、容量別シミュレーションの章にまとめています。
まとめ
最後に、東京都で蓄電池の補助金を活用する流れを3ステップで整理します。
- 自分の容量(5kWh・7kWh・10kWhなど)で、東京都+区市町村の補助額と実質負担を確認する
- 申請スケジュール(事前申込 → 交付申請 → 実績報告)を把握する
- 信頼できる業者から見積もりを取り、補助金込みの実質価格で比較する
国のDR補助金が終了したことで「もう間に合わないのでは」と感じた方もいるかもしれません。ですが、東京都の助成は単独でも全国トップクラスで、令和8年度は予算も拡大しています。慌てて契約する必要はなく、ご自身の容量と区市町村の制度を確認したうえで、納得して進めれば大丈夫です。まずは、補助金込みの実質価格を確認するところから始めてみてください。
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東京都の補助金は全国トップクラスに手厚い一方で、事前申込から実績報告まで手続きには手間がかかります。実質負担を確かめながら申請まで任せたい方には、東京都に特化して補助金の申請をフルサポートする省エネタイガーの無料相談が近道です。まずは気軽に相談して、ご自身のケースの実質価格と進め方を確認してみてください。
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